ミラノでは10人に1人が孤独死!? 海外介護事情

2015/06/14

今や先進国の多くが少子高齢化に悩んでいる。高齢化への対応方法は各国でさまざまだ。

 

宗教観、外国人ヘルパー…イタリアの”オクニ”事情

d385b7e299a06a00096bf19ddc299d3e_sイタリア・ミラノでは高齢者の孤独死が深刻な問題となっている。一説には、約3万人の高齢者が自宅で孤独死しているとの衝撃のデータもある。

イタリアでは、日本の介護保険に該当する制度はない。ケア(現物)よりも現金給付の考え方が主流であり、1980年代より介護者に対して介添手当が支給されている。イタリアでは高齢者の介護を、家族内における出産や育児、病気や失業などのライフサイクルに位置づけ、あくまで家族を介護の中心に置いている。

しかしながら、現実を見てみると、女性の社会進出や高齢者の急増などから、家族を介護の担い手とする体制が崩れつつある。高齢者の独居も増えていて、ミラノでは 27万人の高齢者の3分の1が一人暮らしで、 そのさらに3分の1が自宅での孤独死という衝撃のデータもまとめられている。

 

人生の終末期には、宗教的要素が多くからんでくる。

ローマ・カトリックが90%以上を占め、「命を守ることが大前提」という宗教的背景があるイタリアでは、延命治療、終末期における点滴使用、延命のための薬物の使用が欧米に比較して多いという特徴がある。

この点については延命治療がかえって苦痛を長引かせることもあり、実際に延命治療を受ける際の課題となっている。

また認知症高齢者の85%は在宅で過ごしており、患者を見守る家族の疲弊が問題となっている。

施設介護が中心の日本に対して、イタリアでは在宅が中心である一方で、介護の労働力を外国人材に頼っており、専門知識のない外国人介護ヘルパーが介護を担当することによる問題もあるようだ。

 

一方のオーストラリア、-不要な延命治療はしない、終末期でコンセンサスも-

オーストラリアでは、1997年に「住み慣れた場所で人生の高齢期を送る」という基本方針が導入されている。このため、高齢者ケアのプログラムの多くは地域単位での取り組みが主体となっている。

それに加え、「エビデンス(根拠・証拠)・ベースの実践プロジェクト」が継続的に実施されている。これに基づいて、重度認知症高齢者に対しては意味のないケアで延命を試みるのではなく、症状を和らげるための個別ケアが重視されている。

また、重度認知症高齢者や家族に対しても、介護施設レベルのケアを在宅で受けることができる体制が整備されるなど、充実したサービスが整っている。

それに加えて、末期における緩和ケアのガイドラインなどについての国民的コンセンサスが得られている点が、高齢者のケアをスムーズにさせる大きな要因と思われる。

だた、その一方でやはり老老介護が多くなっており、オーストラリアにおいても家族の支援は大きな課題となっているようだ。

日本の場合においては家族の負担だけがクローズアップされることが多いが、こういった海外の家族介護の成功事例を集めることで、終末期の体制に関する国民のコンセンサスを得ていくことが重要といえるだろう。