介護難民にならないための知恵

2015/06/14

介護を必要としている高齢者が、望む介護を受けることができない現実が、確実に広がっています。

その名も、「介護難民」。

空恐ろしい響きの言葉ですが、今、日本の介護において大きな課題となっています。

 

1 増加の一途をたどる要介護者の数

厚生労働省の発表によると2012年時点では、日本国内に介護を必要とする高齢者は約550万人。団塊の世代が一斉に後期高齢者に突入する2025年には700万人に跳ね上がるとされています。

このような中、起こったのが、家庭でも施設でも病院でも介護を受けることができない介護難民なのです。

これは、家族の形態にも問題があります。
核家族化が定着した日本では、今後、高齢夫婦だけ、独居老人だけといった世帯が増えるとされています。それはつまり、いざ介護が必要になっても面倒をみてくれる家族がいないということになる可能性が高い、ということでもあります。

 

 

2 施設はどこも行列待ち

 

最近では民間経営の有料老人ホームの数も増えてきました。
質の高い介護、全室個室、という施設も珍しくありません。しかしそういった施設では、入居時に数百万円、ときには1千万円以上の入居一時金が必要になる施設も少なくありません。
お財布とサービスを比べると、介護保険が使える特別養護老人ホームが有力候補となる方が多いでしょう。ac81a73faff05acbc50fbd92dd3953cb_s

実は、ここに介護難民が発生する要因があるのです。

一般家庭でも支払が可能という特別養護老人ホームは、それだけに人気が高く、どこも空き待ちの状態です。数百人単位の長い行列待ちがあり、申し込んでも何年先になるかわからない。でも在宅介護は無理。
こういった状況の中、介護難民が減る目処は立っていないのが現状です。

 

3 介護業界は深刻な人材不足

では、特別養護老人ホームを始めとした介護施設は増やせないのでしょうか?

介護難民を生んでいる要因の一つに、介護業界の深刻な人材不足があります。

実は、私の友人が人材派遣会社に登録したとき、面接でまず勧められたのが介護施設でのパートでした。資格がなくても大丈夫、もしやる気があり介護福祉士の資格を取りたいなら会社が授業料の援助をする、とまで言われたそうです。

それほどまでに慢性的な人材不足に陥ったのは、介護という仕事が3Kとも4Kともいわれている職業だからです。

3Kとは「きつい」「汚い」「危険」の頭文字をとった俗語です。

介護業界の場合、寝たきりの方を抱えて起こす重労働。確かに「きつい」です。
トイレの世話も日常の業務。「汚い」仕事といえます。
そして病気などに感染する「危険」もあります。
さらに「給料が安い」ことが加わり4Kの職場といわれるようになりました。そのため離職率が高く、人材が定着しないのです。

 

4 病院に立ちふさがる3か月の壁

施設が無理でも病院があるじゃないか。脳血管障害で寝たきりなのだから入院できるはず、と思う方もいるかもしれません。
病院の状況もそう甘くはありません。

病院は基本的に治療し完治する見込みのある患者を優先して入院させます。
介護が必要な高齢者は、治る見込みが低い場合、もし入院できたとしても3か月をめどに退院もしくは転院を勧告されることが多いようです。
なぜ3か月かというと、3か月を過ぎると医療報酬の点数が低くなるからとも言われます。病院に入院したとしても次の病院を探さなければいけないのが、病院と介護の現実です。

 

 

5 介護難民にならないために

介護難民にならないための確実な方法、それは将来のことを見据えてしっかりの資金面の準備をしておくことです。とはいえ、これは誰もができることではありません。
介護の心配をしている方への一番のアドバイスは、「介護認定の相談は早めに動く」ということです。

介護認定がなされれば、介護保険の範囲内でケアマネージャーがデイケアやショートステイなどの手配をしてくれます。筆者の父も介護認定を受け、ショートステイを繰り返しながら入所することができました。

介護はオーダーメイドのサービスです。ケアマネージャーさんと密に連絡を取り合うことで、解決策が見えることもあるでしょう。

 

【参考資料】
YAHOO!ニュース「人ごとではない介護難民!施設から退去を申し渡されたら…」
ウキペディア「介護難民」