介護家族の健康と存在意義とは

2015/06/14

患者にとって家族による介護には、互いの気兼ね無さなどから自ら意識していなくてもストレスのない生活環境が維持できる。
一方、病院に入院しているときには医者や看護師など従うべき人たちがいることから、人によっては意見や不満を言えない患者もでてくる。また病棟には多くの他人が入院していることから、必然的に社会的、いわゆる大人の対応が求められる。

そのため、病院内での患者は一社会人としての逸脱行為をしないよう制御がかかっているものであり、それは知らず知らずに患者本人のストレスとなっている。仕事で会社勤めをしている現役の人であれば違和感も少ないが、定年後長い間気ままな生活を送ってきた人、農家や自由業で組織の枠外、つまり自分で仕事の段取りや時間配分・休日確保ができる生活をしてきた人、そして家事労働に明け暮れてきた主婦などは、病院内の制約ごとが多い環境にはストレスを感じることになる。

そのような入院生活から在宅介護に移行した場合、それは患者の理想とする環境に近づくもので、介護者である家族の存在そのものも安心だし、気兼ねなくものを頼めるため精神的にずいぶん楽になるものである。

 

一方、介護する家族は病院・施設で教わった介護方法を一生懸命こなすものの、患者がどのように自分たちの存在、また家族の行った介護に満足しているのか知り得ないことがある。d7923b3b35a8bb68afe6fb8e1d1a4e49_s

それは介護者の労働対価として何を求めるかによるが、もちろん金銭ではない。患者の感謝の気持ちなどがあれば介護した満足度にもつながり、「ありがとう」「すまないね」といった言葉があれば納得もできるが、残念ながら「家族だから当たり前」との認識でいる患者もいるのである。

 

このような患者と家族間の意識差は客観的評価をしにくいこともあり、第三者にも伝わらないケースも出てくる。親戚や近所付き合い上、本音で語る相手がいない場合には介護者一人で身体的負担、時間的負担、精神的負担、経済的負担などを抱え込む原因になる。

近頃は介護疲れで病気になる家族や、ひどい場合、患者を殺害して自分も自殺するようなニュースも見聞きするようになった。
このような状況にあって、介護者を客観的に評価するツールの開発および指標・ガイドライン、それを利用した介護者とケースワーカーなどとの連携による介護者支援が求められていくと考えられる。そして介護者は自分がどのくらい患者から必要とされているのか、そして自身の各種負担のことを客観的にとらえること、そして相談先の確保についてあらかじめ考えておく必要がある。

 

少しおかしな言葉に聞こえるかも知れないが、「介護者は患者の健康以上に、自分の健康に配慮しなければならない」ということ言いたい。
例えば在宅介護で自宅を改装することが多いが、それは患者のための環境作りと考えることが多いだろう。しかし、自宅の改装は介護者が作業しやすい・疲れにくい環境にすることでもあり、その結果介護者の怪我を防ぐことになる、ということを意識してもらいたい。
このような認識を持つことで、介護者が自らの健康をより大切にして介護生活を長く継続でき、これが患者と介護者双方の幸せにつながることになろう。