シングル介護の実態

2015/06/14

最近「シングル介護」、あるいは「おひとり介護」、という言葉を聞くようになった。いわゆる独身者、あるいは離婚などで一人住まいの人が親の病気を機に一人で介護する立場になった状態のことである。

このシングル介護について、西日本新聞朝刊の記事(2014年3月27日付)では、息子が母親を在宅介護するケースが最も多いことが分かり、1人で悩みを抱え込んでしまいがちな実態が明らかにされている。

また年老いた親の介護をきっかけに、奥さんが「実の両親は介護するが義理の父母だったら介護したくない」と言い出して、離婚に発展する場合もあるという。その結果一人になった息子が親の介護をしなければならない、という状況は今後も増えていくようである。

 

またNHKクローズアップ現代(2013年10月24日(木)放送)では、「介護をしながら働いている人は全国で291万人おり、介護のために仕事を辞める人は年間10万人に上る」と報告している。

このことから多くの人が介護のために仕事を辞めざるを得ない実態が分かるが、会社を辞めた後は介護をしながらの仕事となるため、時間の制約から定職を持ちづらくアルバイト的な仕事に就かざるをえない。いきおい親の少ない年金を主な収入源とするような生活となり、経済的にはかなり厳しい状況に進んでいくことになる。

 

厚生労働省・人口問題研究所は「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2008年3月推計)を発表、それによると2005年と2030年の比較で、増加するのは「単独世帯」ならびに「ひとり親と子から成る世帯」となっている。そして減少するのは「夫婦のみの世帯」「夫婦と子から成る世帯」「その他の一般世帯」とのこと。

2005年には「単独世帯」が1,446万世帯、29.5%を占めているが、これが2030年には1,824万世帯、37.9%となる。特に「独居老人」と言われる65歳以上の高齢者の1人暮らし世帯が目立ち、2005年には387万世帯だったものが、2030年には717万世帯と、25年の間に約1.9倍、単身世帯の39%を占めることになるというのである。

また「ひとり親と子から成る世帯」も増加する推計となっていて、これは2003年の411万世帯から2030年には503万世帯となる。一方2005年では最も多い「夫婦と子から成る世帯」は、1,465万世帯、29.9%から、2030年には1,070万世帯、21.9%まで減少するとの予測である。c373ca5455805e54630559563c0d470f_s

 

このような状況では独身者のシングル介護がますます増えていきそうである。これに加え、たとえ兄弟姉妹がいたとしても、彼らは家庭があることを理由に「独身者」に介護を押しつけることが多いといい、これからもシングル介護は減ることはないようである。

 

さて、このようなシングル介護が悲惨な結果にならないためには、何が必要なのだろうか。
良く言われることは「一人で抱え込まない」ことであるが、ケアマネは近所の評判を確認し、仕事熱心な人を探すのが大事だという。もちろんケアマネにかかる費用は介護保険で支払われるので自己負担はなく、ヘルパーも親と相性のいい人に継続して来るよう調整もできるという。

親との距離が近かった人ほど、「他人に任せないで自分が親を見なければいけない、見るべきである」という傾向にあるようだが、これからのシングル介護では一人で親の介護を抱えこまずに、広く情報収集をして同じ境遇の仲間の意見を聞くような場やフォーラム等に参加することも必要になってくるであろう。