誰が介護の主役になるの?

2015/06/14

今、日本の高齢者の人口は過去最高となっています。総人口の25%で、4人に1人は高齢者というわけです。

 高齢になれば、介護が必要になるかもしれません。その時、どこで、だれに介護をしてもらったらいいのでしょう? 介護する方も介護される方も、気になるところです。

重荷

介護は、家族がするのが当り前?

 日本では「高齢者や病人、障害者の介護は家族がするもの」という考えが当り前になっています。障害者であれば親、特に母親が世話することが多くなります。

 高齢者の場合は、同居している子供(たいていは長男)とその家族が介護を引き受けます。しかも、高齢者の約40%(男性は50%以上)が自宅での介護を望んでいます。

 日常生活を補助する程度でも苦労ですが、認知症が進行したり、寝たきり状態になったりすると、終日、高齢者から目が離せなくなります。そうなると、介護する家族の負担は、肉体的にも精神的にも、そして経済的にも大きくのしかかってきます。

 

介護の主役は女性なの?

 家族といっても、介護の主役は女性であることが多いのです。つまり、高齢者の妻や娘、子供の嫁が介護を一手に引き受けるようになります。

 結婚して実家の両親と同居していた娘が、父親と母親の世話を同時に、あるいは続けざまに見る場合もあります。

 夫の両親と同居していたり、二世帯住宅に住んでいたりすれば、嫁が介護の主役になります。結婚後、ずっと別居をしていたとしても、夫の両親が二人とも介護を必要とするようになり、やむをえず同居することもあります。

 娘や嫁が専業主婦であれば、夫も両親も親戚も「当然」という顔をするでしょう。娘や嫁が「自分の時間」を必要とすることに気づかないのです。

 娘や嫁が仕事を持っている場合、終日介護が必要となれば、退職することになります。長年積み上げてきたキャリアをあきらめなくてはならないのです。その上、妻の収入がなくなりますから、経済的にも苦しくなります。

 

老々介護

 核家族が増えているので、夫婦の片方が介護を必要とすると、配偶者に頼ることになります。あるいは、妹が姉や兄の面倒を見たり、時には、姉が弟や妹の介護をしたりします。

 つまり、高齢者が高齢者の介護をすることを「老々介護」といいます。

 このケースはかなり悲惨です。介護をしている方も高齢ですから、力のいる世話をするのが大変です。介護している者が病気で倒れたり、認知症になったりすることもあります。

 高齢の夫が認知症の妻を殺して自殺したというニュースを忘れることはできません。

老人の手

シングル介護

 最近、結婚しない、あるいは晩婚、または離婚した男女が少なくありません。そうした独身、シングルの子供が両親の介護をするケースも増えています。

 両親のどちらかが健在で介護を手助けしてくれる場合はまだしも、残された片親、あるいは両親ともに終日介護が必要になると、シングルの子供は仕事を辞めて介護に専念しなければなりません。

 退職すると、収入は親の年金だけになります。年金が少額だったり、何かの事情で年金に加入していなかったりすると、経済的に追い詰められます。

 現在の介護保険は、介護にかかる費用にしか適用されないので、シングルの子供は生活保護に頼るしかないでしょう。

 

若年介護

 老々介護とは反対に、15歳から29歳の若者17万人以上が高齢者の介護をしています。つまり、高齢者の孫が家族として面倒を見ているのです。

 祖父や祖母、あるいは曾祖父や曾祖母の介護をするために、若者達は進学や就職をあきらめるのです。晩婚が多くなれば、子供が未成年のうちに、両親が高齢化して介護を必要とするケースも増えてきます。

 高齢者の介護が若者達の未来を奪ってしまうのです。介護される方も、介護する方もやりきれない気持ちでしょう。

 

一人でがんばらないで・・・

「大好きな両親のためだから」「愛する夫の両親だから」と、使命感に燃えて介護に取り組む人は、決して少なくありません。しかし、一方で、介護される高齢者を心底から憎むようになる場合もあります。

「もう限界だ!」と悲鳴を上げる前に、介護保険を目いっぱい利用してみてはどうでしょう?

 

 介護保険は自分から申請しなければ、利用できません。

 まず住んでいる市区町村の介護保険窓口に申請書類を提出します。申請書類は介護保険窓口に置いてあります。

 申請者が65歳以上であれば、介護保険証を一緒に提出します。

 申請者が40歳~64歳であれば、医療保険の保険証を提出します。

一人

 介護保険申請が提出されると、各市区町村は「要介護認定」の調査を行います。訪問調査と「主治医の意見書」を基にして認定します。結論が出るまでに約1カ月かかります。しかし、緊急に介護を要すると判断すれば、臨機応変に対応してくれます。

 要介護1~5と判断された場合は介護保険が給付され、介護サービスを受けることができます。要支援1~2と言う場合も介護保険が給付され、「予防介護サービス」を利用できます。

 

 介護サービスを利用できるようになると、訪問介護や看護を受けられます。デイケアサービスによって、本人はリハビリをしたり他人と交流したりできますし、介護をする人には自分の時間ができます。ショート・ステイといって、1~2日施設に入所することもできます。介護ベッドなど介護用具を借りることもできます。

 どのようなサービスをどう利用したらいいか、介護保険でどこまでできるのか、自己負担はどれだけになるのか、なかなかわかりにくいものです。プロのケア・マネージャーがついてケア・プランを立ててくれますから安心です。

 自宅での介護が負担になりすぎる前に、ケア・マネージャーに相談するといいでしょう。

雑踏

 少子高齢化が急速に進み、国の介護福祉政策は決して十分とは言えません。老人ホームは入居待ちの長い列ができていますし、「介護難民」という行き場のない高齢者も増えています。

 だからといって、家族が介護の犠牲になることはありません。道は必ず開けます。どうぞ独りで悩まないで下さい。

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。