絶対に必要な介護という仕事、しかし介護業界に未来はあるのか?

2015/06/16

2015年4月、介護保険制度が改定される。「地域包括ケアシステムの構築」「利用者負担の公平化」のふたつが柱とされた今回の改定だが、具体的にはどのような点が変更されるのだろうか。

まず一つとして、特別養護老人ホームの入所基準が、今までは「要介護1~5」だったものが「要介護3~5」に変わった点。
特養への入所希望が殺到し利用者を抱えきれていない現状を鑑みての変更である。
また、「要介護」よりも軽度のサービスで済むとされる「要支援1」、「要支援2」の人々が受けていた通所介護、訪問介護のサービス、今までは予防給付の対象だったのだがこれがなくなる。
また低所得者の利用者負担が軽減される一方、それ以外の人々の自己負担額が増える。

平成24年3月〜平成25年2月の保険給付費(自己負担の一割を除いた、介護事業者に支払われる費用)は8.1兆円余りとなっており、介護保険分野を管轄する厚生労働省としては、現在の制度のままでは赤字続きで回らないというのも今回の改定理由であろう。しかし特養ホーム入所への基準改定など、利用者負担が増えるのは間違いないだろう。

杖

 また介護の利用者側だけではなく、サービスの提供者側も困難な状況であると言わざるを得ない。
公益財団法人介護労働安定センターが発表した統計によると、全国の事業所に調査を行ったところ勤続年数5年に満たない介護従業員が半数を占めており、離職率の高さが問題となっている。

 

 介護職員の労働環境の厳しさは言うまでもないだろう。しかしそれに伴った収入が手に入っているかと問われれば疑問符がつく。
先ほどの介護労働安定センターの統計では、平均賃金は全体で労働者が月別で21万2972円、施設長が35万2197円とのこと。内訳を詳しく見て見ると訪問介護員が18万8208円、介護職員が19万4709円となっておりさらに低い。
手取りにして年間200万円台なのが現状だ。

 

 従業員へのアンケートを見ると、仕事の内容、やりがいに関して満足感を持っているのが45.3パーセントとなっているのに対し、人事評価・処遇のあり方に関してはマイナス8.0パーセント、賃金に関してはマイナス24.5パーセントの結果となっている。
労働条件等の不満については「人手が足りない」が45.0パーセント、「仕事内容のわりに賃金が低い」が43.6パーセントだ。
全国的な傾向として報酬が低く、そのため既存の職員の定着率低下を招き残っている職員の負担がさらに増すという悪循環に陥りがちだと言える。

この記事を書いたライター

雨輝
雨輝

生き死の問題は、人生の長い時間は考えないものです。メメント・モリ(死を想え)といった言葉があるように、死について真剣に考えることで、生きている意味を見出そうとし、有意義な生活が送れると思っております。
今この瞬間も死に直面している人もそうでない人もいますが、死は誰もが通過する道です。万人に共通する「死」というテーマで執筆することによって、多くの方々に「生」を実感してもらえればと願っております。