最近では“メイド・イン・チャイナ”が疑問視されることが増えてきましたよね。ところが、“日本のお墓の約8割は中国でつくられている”ということを知っていましたか?他製品にあるような問題も必ずしもないとは言い切れませんが、日本の墓石業界は中国での確固たる墓石加工体制を築いたうえで機能しているんです。日本のお墓のほとんどが中国で加工されている理由についてお伝えします。
墓石加工拠点の変遷
もともとは日本でもお墓はつくられていました。大きな霊園の近くに石材店が連なっているように、かつては採石場の近くでは墓石加工業が栄えていたんです。しかし、日本の高度経済成長に伴う人件費高騰によって、その生産拠点は韓国へと移されました。日本から近い韓国は、当時はまだ人件費が安かったからです。ところが、1980年代には韓国も経済成長を遂げて人件費が高騰しました。そこで“安さの継続”を求めて、生産拠点はさらに中国へとシフトされ、現在に至ります。
3Kの仕事
このように日本から韓国、そして中国へと生産拠点は変わってきましたが、日本の墓石業界はいま新たな問題に直面しています。もうお分かりだと思いますが・・・“中国の経済成長”です。当然ながら人件費は高騰してきており、3K(きつい・汚い・危険)の仕事でもある墓石加工業は、若者を中心に敬遠されるようになってきました。
しかし、現在はまだ、中国には腕の良い職人たちが働き、品質を担保している工場が多々あります。なかには“次なる中国”としてインドやベトナム、ミャンマーなどに拠点を移すことを考えている企業もいますが、多くは中国における待遇や労働環境の改善などさまざまな対策を講じることで、若者離れを防ごうと動いています。アジア全体をみても経済成長は目覚しく、いつまでも“安さ”を求めるだけではいけなくなってきたことが分かったからです。ただでさえ、日本人のお墓離れが進行しているにも関わらず、日本の墓石業界は国内外で問題を抱えていて厳しい状況なんです。
日本人職人への技術継承も
いまや、日本の墓石業界はこの中国なくして機能することは難しくなってしまっている状況です。当然ながら、中国には墓石加工の職人が存続している一方で、日本国内では日本人の職人が激減しています。なかには、“日本人職人への墓石加工の技術継承”を目指して活動する企業などもいますが、ごくごく少数派なんです。“石材加工”という伝統芸を守るためにも、日本人職人の存続も大事に考えていく必要があるかもしれません。
この記事を書いたライター

これまで全国各地の石材店や納骨堂の取材をしてきました。
最近は「終活」という言葉をよく耳にするようになったものの、なにから始めればいいかよく分からない人も多いはず。そんな方々のお役に立てるように、終活にまつわる情報をお伝えしていきます。
終活を通じて、自分のこれまでの人生を見つめ直し、そしてこれからの人生に備えていきましょう。きっと自分にとっても家族にとっても、充実した幸せな暮らしにつながるはずです。
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