故人の意思や遺族の希望で、最近エンバーミングを施す例が増えています。

2015/06/17

みなさんは、“エンバーミング”というものを知っていますか?

多くの人にとっては耳慣れない言葉かも知れません。
これは、遺体に対して、修復作業を行い、出来るだけ生前の元気だった姿に近づける、というものです。

日本でも昔から、死後に施す“死に化粧“というものもありますが、単純な化粧はエンバーミングには含まないという考えもあります。
日本にはそのような習慣はありませんでしたが、最近少しずつではありますが、エンバーミングを利用する人が増えているようなのです。

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日本にはない習慣?

このエンバーミングですが、欧米では一般的な行為であったといわれています。
欧米では死後の復活を前提としています。そのため、納棺した遺体をそのまま埋葬する宗教であり、死後であっても遺体を残す、という風習があるためかもしれません。
もしくは精神的な側面として、事故や病気によって、生前とは違う印象になってしまった遺体を、少しでも美しい姿で送り出してあげたいという気持ちもあるのでしょう。

一方、日本では火葬するのが普通ですし、昔のように土葬するにしても、「土に還る」という考えが古くからありますから、特別そのような必要性を感じてこなかったのでしょう。

 

どうして、日本でも“エンバーミング”?

なぜ、日本でもエンバーミングを利用する人たちが、少しずつ増えているのでしょう。大きく分けて、その理由は以下の三つといえます。

 

一つは、葬儀の形態が昔とは変わった、ということです。

現代では、葬儀と言っても、快適で清潔な斎場はもちろん、美しい花々、故人の趣味や性格を表現した飾り付けなど、送る側も送られる側も、さまざまな思い入れを、お葬式という場に具現化出来るようになりました。
それが遺体そのものにも及ぶのは、むしろ当然の成り行きかも知れません。交通事故などでできた傷や、病気で生気を失ってしまった表情を、元気だったあの頃に戻したいと考えるのでしょう。

 

二つ目は、時間です。

火葬だから衛生的に問題ない、というのは、あくまで火葬後のこと。
お棺にドライアイスを入れるのも、お通夜やお葬式、火葬を急ぐのも、すべてはそのためです。特に都心部などでは、大きな火葬場があってもすぐに火葬できる、ということではありません。数日、場合によっては一週間以上待つ、ということも珍しくはありません。

衛生的な面以外にも、利点があります。
遺体は亡くなった瞬間から状態が変化していきます。
エンバーミングを施せば、遺体の状態変化を緩やかにすることが可能です。ゆっくりとした日程であっても、お別れの時間を持つことができます。当然、限度はありますが、慌ただしく送り出さなくても済むのは間違いありません。

 

最後に、一番大きな要因としては、これらの想いを具現化する技術が、それほど高い費用でなくとも利用出来るようになった、ということがあげられるでしょう。

 

エンバーミングの詳細な方法は、ここでは割愛しますが、専用の薬液を体内に注入するなどして、科学的な処理を施します。それは自然の流れを少しだけ待ってもらうこと。
こうして、一般的な葬儀の際でもエンバーミングの技術が必要とされ始めているのだと思います。

 

エンバーミングに込める想い

このエンバーミングが広まったのもインターネットを中心として、情報が入手しやすくなったためかも知れません。まったく知識のなかった日本の人々も、さまざまなルートで情報を得るようになっています。葬儀社などもそれに対して、要望にこたえられるようになってきたのでしょう。

ご本人でも、近親者でも、その行為自体に抵抗を感じる人は少なからずいるかも知れません。
ですが、実際エンバーミングの多くが遺族の意向として行われるそうです。それは、最期に残る姿を少しでも生前のままで、という想いがあるからかもしれません。
故人と久しく合ってなかった場合、実際に対面した姿が最期の印象として強く残るでしょう。
ましてや家族であればこそ、最期の顔というのはとても大事なもの。
そこに感じる想いも強いのは当たり前と言えるかもしれません。