家裁紛争の7割は資産5000万円以下

2015/06/23

「財産が少ないから大丈夫」は本当? 急増中の遺産トラブル

2015年から相続税の仕組みが改正され、遺産にかかる基礎控除が大幅に縮小された。具体的には、相続税の申告が必要ない基礎控除額が、【改正前:5000万円+1000万円×法定相続人の数】から、【改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数】へと縮小された。
これによって改正前は申告の必要がなかった都内に自宅を持つ多くの人が、相続税の課税対象となるともいわれている。

相続トラブル5000万円以下が7割以上

相続トラブル5000万円以下が7割以上

相続をめぐる骨肉の争いというと、資産家のできごとで自分には関係がないと思いがちだ。しかし家裁紛争の統計をみると、決して相続トラブルは他人ごとではないことがわかる。2012年度に家裁で調整が成立した相続トラブルはおよそ8000件。そのうち約3割が遺産額1000万円以下、4割強が5000万円以下との統計もあり、7割以上の相続トラブルが遺産5000万円以下で起きている計算になる。

専門家によれば、遺産が自宅のみでわけられる金融資産がないケースで、トラブルに発展することが多いという。実際に相続トラブルの件数自体も増えていて、この10年で1.4倍に膨れ上がったとのデータもある。統計を見る限り、決して相続トラブルは対岸の火事ではないようだ。

相続トラブルによって一度こじれてしまった親族関係は、修復するのは困難だ。日本法規情報の相続問題レポートによると、相続問題でこじれた親族関係の修復について「修復する可能性はない」(22%)、「修復するつもりがない」(19%)、「修復したいとは思っている」(11%)、「修復したくない」(7%)となり、半数が関係の修復を困難と考えていた。

トラブル理由「自宅の相続」がトップ、2位は「介護」

増加する相続トラブル、家裁紛争の7割は資産5000万円以下

同様に、親族トラブルの中身についての質問では、「遺言書がなかったため、自宅を誰が引き継ぐかで揉めた」との回答が最も多く41%。次いで、「生前、親の面倒を見ていた兄弟の取り分で揉めた」(21%)、「相続手続きが煩雑で多忙の中大変だった」(12%)、「親の借金をどうするかで揉めた」(11%)、「疎遠になっていた親族と連絡が取れず手続きが難航した」(9%)、「相続した不動産の名義変更をしなかったため、揉めた」(6%)の順だった。

受け継ぐ遺産が自宅のみのケースがトラブル理由のトップに来ていたが、2位が親の介護をしていた兄弟の取り分でもめたとなっている点も興味深い。
核家族化、少子高齢化や意識の変化で「長男が同居し、長男の嫁が介護を担う」という旧来の介護形態は崩れつつある。法律上は介護の有無にかかわらず、子の相続割合は均等になっているが、実際に介護という重責をになった人からすれば、「相応の対価を受けたい」と思うのも人情。
いずれにしろ相続トラブルを避ける最も有効な方法は、生前に書かれた1通の遺言状であることに変わりはないのだろう。