横須賀市「エンディングプラン・サポート事業」 その2

2015/07/13

「エンディングプラン・サポート事業」の生前契約で代金を預けた葬儀社が倒産した場合は支援プランの実現はなされるのか?

通常の債権者としての預かり金回収の権利がある。ただし、そもそも倒産の場合には相手方の資力に問題があるので、結果として個人の債権者が債権を回収するのは困難な場合が多いと思われる。
このような場合に、どこまでエンディングプラン・サポート事業(前回記事参照)の支援プランが実現されるのだろうか。改めて北見担当課長に訊ねてみた。 

宮木 章太

 
Q.仮に、債権回収がまったくできなかったり、一部しか回収できない状態のままで、ご本人が死亡してしまった場合、支援プランの内容はどこまで実現されるのでしょうか?

『本人の希望に沿った葬儀・納骨について』

葬祭に充てられる金銭がなかったり、不足する場合には、生活保護法の葬祭扶助を適用し、葬祭を行わざるを得ない。
他方で、本人の希望に基づいた契約内容・支援プランは市役所も保管している。
したがって、生活保護基準の範囲内(27年度1級地:206,000円以内)であれば、本人の希望に基づいた契約内容・支援プランが保管されている以上、市(福祉事務所)としては、その内容で当事者の葬祭をカバーすることになる。
もちろん、支援プランの上限を超えたオプションとしての契約部分は実施されない。 

――つまり、支援プランは20万6000円が上限だから、支援プランの内容自体はカバーされるわけですね。生活保護行政の担当部署だからこそ可能と言える連携ということでしょうか。

『本人の希望に沿ったリビングウィルの実現可能性について』

市とともにその伝達を担っていた葬儀社が存在しなくなり市役所のみによる対応となるため、対応可能時間帯が24時間365日から土日祝祭日を除く平日昼間のみと、30%程度に縮小されてしまうことになる。
これは上記の生活保護葬祭扶助が本人の死後適用され、そこで初めて対応葬儀社が決まるため現在の仕組みでは避けられない。

――生前に契約関係が無い以上葬儀社の関与は組み込めないですね。

 

葬儀社との生前契約は必要である

Q.エンディングプラン・サポート事業を利用せず(葬儀社との生前契約も行わず)、支援プランのみを作成しサポート事業のサービスを(生活保護の葬祭扶助を使って)受けることは可能か?

それは出来ない。
サポート事業のサービスは行政が従うべき法定の住民サービスではなく、自治体の任意事業であって、あくまで自立を前提としている。そのため、どのようなサービス内容とするかは自治体の判断となる。
ゆえに、このサポート事業が規定する範囲の生前契約があることを当該サービス提供の前提としているため、生前契約がない場合には支援プランも作成されずサポート事業のサービス対象ともならない。

 

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サービスを開始した7月1日以降も、地方自治体やメディア、葬儀社等、全国から問い合わせや取材が入っているようで、注目度の高さが伺える。

行政-民間企業-住民による地域共同体 これらの相互に強みを引き出しあう連携構築が、進む人口減少と家族・親族間の相互扶助の希薄化のトレンドを背景により重要度を増している。
横須賀市のこの試みは、小さいながらも大変に貴重な知見を提供する動きであると言えよう。

参考記事
「本人意思の実現:市役所と葬儀社が連携」