高齢者の自殺…実は家族と同居?

2015/07/13

高齢者の自殺…実は家族と同居している場合に多いってホント?

最近では未成年による自殺件数が目立っているように思われますが、実際のところその割合はそれほど高くなく、全体の2パーセント程度に過ぎません。
自殺件数が際立っているのは65歳以上の高齢者のほうであり、自殺者の4割は高齢者で占めています。そして、「死にたい」という自殺願望を抱いている高齢者のほとんどは糖尿病や関節痛、高血圧症などの慢性的な病気を抱えており、自殺をするまで身体的不調を和らげるために入退院を繰り返していたという方が多いようです。

身体的不調からうつ病へと発展

あまり使われない精神科

年をとると、誰しもうつっぽくなるもの。パートナーや友人の死をきっかけに孤立状態となり、「次はきっと自分に違いない」といったマイナス感情を抱くようになります。そのうえ、療養のために入退院を繰り返しているのであれば、状況はさらに最悪に。症状が一向に良くならない現状に嫌気がさし、やがて「元気な状態に戻れないのなら死んだほうがマシだ」と考えるようになります。その結果、自殺という最悪の結果が生み出されてしまいます。
このように、身体的不調からうつ病へと発展し、最終的に自殺へと追い込まれることになるわけですが、国立精神・神経センター精神保健研究所が纏めた報告書が示しているように、自殺の根本的な原因となっている病気を治療するための診療科に通っていたという人はいても、精神科に通っていたという人となるとごくわずかに過ぎません。

 

実は家族と同居の場合に高い自殺率

すでに指摘した通り、高齢者のうつは主に孤独感から来るもの。そうなると、高齢者のうつは独り暮らしの方に多いものと思われがちですが、同研究所が纏めた報告書によれば、予想とは真逆の結果が得られています。
実際のところ、高齢者の自殺が目立っているのは独り暮らしの場合ではなく、家族と同居している場合であって、独り暮らしの高齢者の自殺率おいては全体の5パーセントにも満たないようです。
もしかすると、高齢者のうつの大半はこれ以上家族に迷惑をかけてしまうことに対する申し訳なさから来ているものかもしれません。

高齢者のうつは主に孤独感から来る

介護する側も… 

「死にたい」という自殺願望を抱いたことがある方は、慢性的な病気を抱えている方、つまり介護される側に限定されません。
介護する側のうつも社会問題となっており、高齢の介護者の3人に1人が自殺願望を抱いたことがあるというのが現状です。介護のことで思い悩み、気付いた時には治療を要するレベルの疾患を患っていたというケースも少なくありません。介護うつからさまざまな病気を起こさないようにするためにも、介護のことで困ったことがあった時にはいつでも助け合える介護者同士のネットワークの構築が求められていると言えるでしょう。

この記事を書いたライター

大澤 法子