遺産相続や分割 3つのポイント

2015/07/23

「遺産の相続や分割を指定する前に確認すべき3つのポイント」

遺産には「故人の想いや願い」が詰まっています。「お世話になった夫の嫁には多めに渡したい」「同居してくれた次男夫婦に残したい」といった感覚は誰にでもある普通のものだと言えるでしょう。

「想いや願いを反映させたい」という場合に通常思いつくのは遺言でしょう。ただ、遺言状で財産の相続金額や分割方法を指定するという方法は決して万能ではありません。自分の意思をより確実に正確に実現するための工夫やテクニック、いくつかの注意点があります。それを覚えておかないと、自分が思ったように財産を分けてもらえないこともあるのです。遺産の相続や分割

 

ポイント1「財産を分ける上で覚えておくべきルールを知る」

財産を相続する時、たとえ遺言状で被相続人である本人の意思が明確に記されてあったとしても、相続する人の順序や財産の分配割合について、法律によってそれと異なるルールが優先適用される場合があります。

「故人+配偶者+子ども」の家庭を例として挙げてみましょう。故人の“配偶者”は全財産の2分の1、故人の“子ども”は全員で2分の1を分割するように、と定められています。(故人に親・兄妹姉妹などがいた場合、その割合はまた変わってきます)

このような「本人の意思がどうであろうと、財産を相続する権利を持つ人が最低限相続できる財産」のことを『遺留分』と言います。先の例で言えば「妻(配偶者)に全ての財産を渡す」と遺言書に記していても、子どもには『遺留分』があるわけです。その場合、子どもが『遺留分減殺請求』の手続きをした場合、妻は財産の2分の1を子どもに渡さなければいけない可能性も十分にあります。

 

ポイント2「財産を分けるためのテクニックを活用」

「遺留分に配慮しなければいけないなら、遺言なんて書いても無駄だろう」「自分の思い通りにならないじゃないか」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなことはありません。遺留分以外の相続財産については、遺言は当然に有効ですし、遺留分についてもその対策方法、言い換えるなら自分が思った内容に近い形で財産を分けるテクニックもあるのです。

<保険金の活用>

生命保険に加入していれば、亡くなった後に保険金が支払われます。なので「財産を少しでも多く残したい」と思う家族を保険金受取人に指定しておきましょう。保険金は受け取った人間の財産ですから、相続財産すなわち遺留分を算出する前提の対象とはなりません。(ただ、保険金額が一定額を超えると相続財産とみなされる可能性が出てくるため、その点には注意が必要です。)

この場合保険会社の担当者に「少しでも多く財産を残したいから」と事前に意思を伝えたり、受取人に指定してよいかどうかといった相談や確認をしておいたほうが良いでしょう。

<遺産分割協議書の作成>

『遺産分割協議書』はその名前の通り被相続人である本人の亡くなった後「誰がどの財産をどれくらい受け取るか」を相続人間で話し合って決めた内容を記した文書です。

(1)財産を相続する人全員が参加できる
(2)相続する財産がどれくらいあるか明確になっている

この2点が必須となります。全員が納得し署名捺印した「遺産分割協議書」が完成します。決まった書式はありませんが、トラブル防止の為司法書士や弁護士など法律の専門家に関与してもらうのが一般的です。

家族や親族でじっくりと遺産分割について話し合って決めてもらえればよいという人にはこちらが良いでしょう。

 

ポイント3「墓や葬儀費用の確認もしておく」

「これで自分が思った通りに財産を分けられた」と安心する前にチェックしておきたいのは「お墓と葬儀の費用」です。

日本消費者協会が平成15年に実施したアンケート調査によれば、葬儀の平均費用は2,366,000円です。また、墓への納骨には10万円程度、お墓の購入費用となると平均1,678,000円とこちらもかなりの高額になります。
お墓や葬儀の費用を負担するのは基本的に「購入者・主催者」となりますから、亡くなってから「自分が代わりに支払いたい」と思ってもそれは無理な話です。

実は葬儀の費用に関しては、財産から控除できます。つまり、自分の残した財産から葬儀費用をマイナスして、その分を相続権のある人達で分配できるのです。また、葬儀の際に受け取った香典は、会葬者から喪主への贈与と法的に解釈されますので相続財産には含まれません。
とは言え、葬儀の規模や金額が多ければその分分配される相続財産が減るわけで、場合によっては親族間でトラブルの元になることも。葬儀の希望や費用負担については事前に家族と話し合い、ある程度具体的な金額を出した上で関係者の理解と納得を得ておく方が懸命です。

お墓は原則として、購入者がその費用を支払います。なので「家族に負担を強いたくない」という思いから、自分でお墓を購入するケースも多く、この生前にお墓をつくる『寿陵』は密かなブームにもなりつつあるほどです。
ちなみに、法律上祭祀承継者(葬儀の主催者やお墓を購入・継承する人)は事前に指定できます。お墓が無ければ通常はこの祭祀承継者がお墓を用意することになるのが一般的です。

家族との話し合いをしっかり進められ、家族間の同意が得られたなら祭祀承継者を指定しその分相続財産を大目に配分するという方法を。
家族との話し合いが進まなかったり、自分でお墓を用意しておきたいと思うなら『寿陵』を選択する、という考え方もあると思います。

 

遺産というのは、その分配方法だけでなく「葬儀や墓のことも含めて考える」という捉え方が大切です。最初に述べたように「遺産は故人の想い」でもあります。想いをきちんと伝えるためには、事前に手続きをしたり家族とじっくり話し合うことが大切なのです。

この記事を書いたライター

雨輝
雨輝

生き死の問題は、人生の長い時間は考えないものです。メメント・モリ(死を想え)といった言葉があるように、死について真剣に考えることで、生きている意味を見出そうとし、有意義な生活が送れると思っております。
今この瞬間も死に直面している人もそうでない人もいますが、死は誰もが通過する道です。万人に共通する「死」というテーマで執筆することによって、多くの方々に「生」を実感してもらえればと願っております。