データで分かるライフエンディング【vol.3】 高齢者の家計

2015/07/29

「データでわかるライフエンディング」、第3回の今回は高齢者の家計について考えていきたいと思います。人生をどのようにしめくくるかについて考えるとき、目の前の毎日をどのように生きるかということも大切になります。一家の経済生活のやりくり全ての総称である家計とは、生活の根底となるものです。生活に必要だから支出しなければならない項目ももちろんありますが、支出の仕方や割合には価値観が色濃く映し出されます。家計を紐解くことで、高齢者の暮らしへの理解を深めていきましょう。

 ともに二人以上で暮らしている世帯で、世帯主が65歳未満の勤労世帯と、世帯主が高齢者である世帯の多くを占めている「高齢無職世帯」との支出項目と、その内訳を比べてみました。

世帯主が65歳未満の勤労世帯高齢無職世帯

 65歳未満世帯にある教育費や仕送り金といった支出はライフステージの変化によりなくなっていますが、高齢無職世帯では食料と保険医療費、交際費にかかる支出の割合が高くなっていることがわかります。年齢を重ねるにつれ保険医療費が増加することは想像に易いものですが、食費と交際費の割合が増えていることに驚く読者もいるのではないでしょうか。
 加齢とともに食は細くなる印象があるのに、今日のシニア家計に占める食費の割合は65歳未満世帯のそれの割合よりも大きくなっています。そこには食事を単なる栄養補給の場でなく、コミュニケーションの場として捉えるシニアの考え方が関係していると思われます。

 最近盛り上がりを見せている業界に、ファミリーレストラン業界が挙げられます。ファミリーレストランで新たな利用者、リピーターとして注目されているのがシニア層です。次のグラフはファミリーレストランに対する60代、70代男女の意識調査のデータです。

ファミリーレストランは家族とのコミュニケーションの場所かファミリーレストランは知人・友人とのコミュニケーションの場所か
 「ややそう思う」を含めると、家族とのコミュニケーションの場であると回答したのは64.2パーセント、友人・知人とのコミュニケーションの場所であると回答したのは57.9パーセントにもなります。セルフサービスの店舗にはない日本企業らしさを感じるサービスや、ゆったりと食事が楽しめる雰囲気で支持を集めているファミリーレストランですが、シニアからはコミュニケーションが深まる場として積極的に利用されていたのですね。友人、知人と気軽に集まれる、ひとむかし前の「縁側」のような存在になっているのではないでしょうか。
 また家族とのコミュニケーションが深まるという回答からは、現在のシニアの夫婦の形が見えてきます。最近は定年を迎えた男性が料理をすることも珍しくないようですが、やはり食事の支度をするのは奥さん…という家庭が多いでしょう。妻の家事負担を軽減させ、老後の生活をふたりで楽しもうという夫婦が増えているように感じられます。

 食費と交際費の支出に反映されていたコミュニケーションを大切にしようという姿勢から、自分らしく毎日を楽しもうとするシニアの姿を感じることができました。