高齢者・認知症患者への良い接し方

2015/08/06

母が亡くなって5年になります。
思い出されるのは、亡くなる前日の素晴らしい笑顔と・・・
じゃけんにどなってしまったこと。思い出すだけで、後悔します。

でも、つい、どなりたくなるのです。
「さっさとしてよ!」
「何回も同じことを聞かないで!」
そして、自己嫌悪に陥ってしまうのです。

どならないようにできないものでしょうか?

 

どうして、こんなことができないの?!

 

アルツハイマー型認知症が発症すると、初期の軽度でも、今までできたことが、スムーズにできなくなります。
同じことを何回も聞かれたり、同じことをくり返し話したり、相手をしていると、イライラしてきますよね。
つい「さっきも言ったでしょ」「それ、もう聞いたわよ」と、言いたくなります。
料理している最中に電話がかかってくると、電話に出た後、料理していることを忘れてしまいます。ぼんやりテレビを見たり、庭に出て草むしりをしたり。
「料理していたのではないの?」と言っても、ポカンとしています。

記憶障害が起きているので、仕方がないのです。

認知症は脳の神経組織が破壊されますから、知的能力が低下するだけでなく、身体機能も低下してきます。

認知症でなくても、高齢になると、動作がのろくなります。反射も鈍くなります。認知症で食欲が異常に出てくる人もいますが、加齢とともに食欲が減退する人も少なくありません。
そこで、介護する家族達は、ついつい、こう言ってしまうのです。
「ほら、ぐずぐずしないで」
「さっさと歩いてね」
「ちゃっちゃっと食べなさい」
耳が遠くなっている人も多いので、大声で言うようになります。それで、どなることが多くなってしまうのです。
冷静になると、「ああ、どなるのではなかった」と反省します。
「もっとやさしく言ってあげれば、よかった」と思い、
「私は思いやりが足りない、冷たい人間なのだ」と、自己嫌悪におちいることが、少なくありません。

 

子供にも、同じことを言ったのではないかしら? 

「さっさとしなさい」
「どうして、こんなことが、わからないの?」
「どうして、これくらい、できないの?」
これは、お母さんやお父さんが、よく言う言葉です。
幼い子供達は、身体機能が未発達ですから、動作が遅く、ぎごちないのです。
知的能力も発達途上で、簡単なこと、例えば「99の次は100」というようなことが理解できません。
それで、上記のような言葉が出てしまうのです。
もちろん、幼稚園や保育園、小学校の先生達は、
「子供さんを急かさないで、ゆっくり見守ってください」と、言います。
そう言われても、お父さんもお母さんも自己嫌悪にはなりません。
「つい、言ってしまうんです」と、苦笑しています。

介護している高齢者にも同じことを言っているのです。
それなのに、高齢者に言った時は、やりきれない気持ちになってしまいます。
それは、子供は、いつか、行動が速くスムーズになり、いろいろなことが理解できるようになるからです。
親は、大人は、それを知っているから、平気で文句を言えるのです。
でも、高齢者はそうはいきません。
日常動作がうまくできないから介助が必要なことも、記憶がどんどん抜け落ちていくことも、介護する者は、よく承知しています。
認知症患者、介護を必要とする高齢者が、できないことを、よくわかっているのです。
「できないことを要求している」とわかっているから、やりきれない気持ちになりますし、自分が嫌になってしまうのです。

 

必要だから、どなるのです

高齢者・認知症患者への接し方

介護する場合、どうしても必要なことがあります。
まず薬をきちんと飲ませなければ、なりません。
認知症になると、薬を飲むことを忘れてしまいます。あるいは、飲んだことを忘れてしまいます。
栄養バランスのとれた食事を規則正しく食べさせることも大事です。
食事がかたよって生活習慣病が悪化したり、栄養失調になったりすると、認知機能の低下をさらに進めてしまうこともあります。 
徘徊に備えて、GPSつき携帯電話を持たせたり、名札を縫い付けたりします。
身体を清潔にして、適切な服装をするようにします。
他にも、まだまだあります。こうした必要なことをするには、介護されている本人にも協力してもらわなくてはできません。

相手は子供ではありません。プライドの高い高齢者なのです。「○○だから、こうしましょう」と、きちんと説明した方がいいのです。
そのために、はっきりした言葉で、しっかり伝える必要があるのです。
高齢になると、耳が遠くなることもあるので、大きな声で言ってください。
どなるような言い方になってしまっても、よく聞こえる方がいいのです。
何回も同じことを聞くのは、わからなくて不安になっているからです。しっかり、はっきり答えて、安心させてあげてください。
しっかり、はっきり話すようにすると、どうしても切り口上になりがちです。声も大きく、口調も強くなります。

ですが、その方がわかりやすいのです。

子供を相手にする時のことを、思い出してください。
子供が熱したフライパンに手を出したりしたら、大声でしかりますよね。
「これにさわっては、ダメ!熱いの!痛いの!さわっては、ダメ!」
優しく注意するより、よくわからせることができるからです。
高齢者相手の看護師さんも、大きな声で、短い文章で、はっきり話します。
その方がわかりやすいので、患者さんが安心できるし、まちがえないのです。
大声でどなったから、自己嫌悪になることはないのです。
必要だから、そうしているのです。
「さっさとしなさい」と、急がせるのも、必要なことがあるのです。

ただ、忘れないでください。

怒らないでください。
怒っても、相手はわけがわからず、不安が増すばかりなのです。
イライラして怒るのでなければ、きつい言い方をしても、大声を出しても、相手は受け入れます。

 

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。