お墓についてのある考察

2015/09/04

日本における墓として、寺墓地(寺院境内墓地)、公営墓地(霊園)、民営墓地(霊園)と分類される従来型の墓がある。
一般には「家墓」とか「代々墓」呼ばれる、代々その家つまり家長となる者の系譜で受け継いできた墓である。
意外なところとしては、二つの家を一つのお墓に祀った墓「両家墓」と呼ばれるものもある。これは昔からあるもののあまり知られていないようである。この両家墓は、もともと片方の家に墓を継承していく跡継ぎがいない場合に、建てられたという。お墓の考察

墓石についてもいろいろある。

メジャーな分類は和型・洋型であるが、最近ではこれら和型・洋型とも違う、「デザイン墓」という分野も現れている。
また、欧米で広く見られる「芝生墓地」や「壁墓地」も出てきており多様化が進んでいる。「芝生墓地」は開放的な広い芝生の中にプレート型の墓石が埋め込まれているものだが、日本ではプレート型の墓石の代わりに洋型墓石を置くことが多いという。また、最近ではスペースの問題から公営の霊園でも「壁墓地」を据える所が出てきており、分類自体も入り組んだ状況となっている。

ところで、先祖代々からの墓は、実はその家の人物の所有物ではなく、使用する権利だけをお寺(宗教法人)や国や地方自治体より与えられているのである。つまり、継承者があってこそ家墓は存続し、継承者がいなくなれば消滅するものでもある。そのため子供がいない夫婦の場合、家墓という形態の墓を建てることの不都合を感じる場合が多い。

このような継承者のいない夫婦が自分たちの入るであろう墓の準備を考える場合、永代供養墓や樹木葬(樹林墓地)というものに関心を持つことになりやすい。
永代供養墓は合祀墓の形態をとることも多く、この場合、収められる遺骨が特定の家族のものだけではなくなることになる。また公営のお墓として提供される場合には、政教分離の観点から「合祀墓」という言葉を避け「合葬墓」あるいは「集合墓」と位置付ける場合もある。

さて、樹木葬である。

宗教色がない言葉であることと家の系譜に捉われない永代供養墓の側面を持つ場合が多く、従来の伝統的な代々墓に違和感や不適合性を感じていた人々に人気のようである。
また樹木葬は、そのイメージから自然葬として散骨と類似の印象を持たれる方もいるが、大抵は法律上の墓地・霊園の一形態であることが多い。

墓を持つ意味とは…

以上、墓の形態や種別について触れてきたが、そもそも墓を持つこと、墓参りすることに私達は何を求めているのだろうか。
もちろん残された人が故人を偲ぶための場所であり、墓参りすることで気持ちの切り替えができたり、墓前で普段想うことの少なくなった故人を偲ぶ機会を得ることができると言えそうだ。また、墓前だと故人に話しかけ易いのは、お墓・位牌の場所が仏界と繋がっている所だというイメージが馴染んでいるからだともいう。

他方、墓参りに行くときれいに掃除の行き届いた立派な他家の墓が気になったり、変わった墓に目がいくこともある。
墓石を建立することは平安時代に支配階級で始まったとされ、それが江戸時代には裕福な平民から広がっていったそうである、かつての裕福な先祖がその社会的な位置づけを内外に示すために立派なものを建てた一族としてのアイデンティティや記憶につながる意味が感じられるのかもしれない。