認知症の予防「娘の顔が分からない母」

2015/09/09

社会の高齢化が進むにつれて、認知症も増加しています。7人に1人が認知症と言われますが、軽度認知症も含めると、65歳以上の人は、4人に1人が認知症ということになるそうです。

認知症になったら、どうしよう…
還暦を過ぎると、そんな不安も人ごとではないかもしれません。

認知症とはどんな病気? 

実は、認知症は一つの病気の名前ではありません。脳の病気等によって引き起こされた状態を言います。「一度成熟した知的機能が、何らかの脳の障害によって継続的に低下した状態」が認知症とされ、その原因にはいろいろなものがあるのです。

認知症とは言っても中身はさまざま 

よく知られているのが、アルツハイマー型認知症です。変性疾患による認知症の代表で、原因はまだはっきりしていません。認知症の50~60%がアルツハイマー型と言われます。

また、脳血管障害による認知症も少なくありません。脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血などで脳細胞が死に、認知症が起こります。

梅毒やHIVの感染によって認知症になる場合もあります。

脳腫瘍・正常性水頭症・慢性硬膜下出血・脳外傷など、脳外科的な疾患や、甲状腺機能低下症などの内分泌異常、アルコールや薬物などの依存症によっても、認知症になります。しかし、これらの場合は、外科的処置や投薬、カウンセリングなど適切な治療を受ければ完治することが多いのです。

認知症の症状は?

よく見られるのが記憶障害です。高齢化による「もの忘れ」とは違います。
ちょっとしたことで混乱し、今話している相手が誰なのかもわからなってしまうのです。たとえば、「友達と会う約束をしたこと」「今朝、朝御飯を食べたこと」そのものを忘れてしまうのが認知症です。
「約束をしたけれど、何時だったか忘れてしまった」「何を食べたかしら?」という部分的な記憶がなくなるのは「もの忘れ」です。

 しかも、認知症には「自覚」がありません。「この頃、もの忘れがひどくて困る」とこぼすことはないのです。「約束なんかしなかった」「まだ朝食を食べていない」と、言い張ります。 

「何をどこにしまったのか」もわからなくなります。 
「もの忘れ」で「何かを探して半日過ごす」ことは珍しくありません。しかし、認知症では「○○に盗られた」と言い出します。自分がしまったことを忘れて、誰かに盗まれたと、他人のせいにするのです。

そして、新しいことが覚えられなくなります。「新しい電気器具の使い方がどうしてもわからない」と、言います。自動販売機・自動改札機・ATMの前で混乱することも、しばしば見られます。

周囲で起きている事実を正しく認識できなくなるので、時間の観念や季節感がなくなります。気温に合わせて着る物を選ぶことができなくなります。自分の年齢や家族のことさえもわからなくなります。

段取りや計画を立てることもできなくなります。二つ以上の料理を並行して進めることができません。

近所に買物に出かけ、自分がどこにいるか、わからなくなります。
自分の年齢や名前など、基本的なことを忘れてしまいます。可愛がって育てた娘や息子の顔を見ても、誰かわからず、キョトンとしたり、他人として警戒感を露わにしたりします。
介護を行っているご家族が、強いショックを受けてむなしさややるせなさを感じてしまうのはこういった出来事が多いようです。認知症 予防

認知症を予防するには? 

何の病気でも早期発見・早期治療が大事ですが、認知症の原因となる病気の場合も同じです。特に、投薬や外科的処置で治療できるものは、早期に対応することです。
アルツハイマー型や脳血管障害性の認知症も、進行を遅くしたり改善したりする薬品が開発されていますから、やはり早期発見が大切です。
「認知症になったら、どうしよう?」と恐れずに、早期に対処すればいいのです。

軽度認知症(MCI)とは? 

初期の軽い症状の認知症を「軽度認知症(MCI)」といいます。

軽度認知症は、全般的な認知機能は正常で、社会生活にも問題はありません。ただ、記憶に関して、家族や周囲の人々が首を傾げると同時に、本人もおかしいと気づく障害が現れます。

65歳を過ぎた4人に1人は軽度認知症だと言われます。単なる「老化による、もの忘れ」ではなく、放置しておくと、その多くが認知症に移行するようです。
できるだけ早く、かかりつけの医師に相談するか、「もの忘れ外来」のある病院へ行くといいでしょう。

軽度認知症でくいとめるには?

軽度認知症と診断されても、決して悲観することはありません。適切な対処法をとれば、認知症へ移行することはありませんし、症状を改善させることもできます。

まず食習慣ですが、野菜や果物(ビタミンC,Eやベータカロチン)をたっぷりととり、魚をよく食べるようにします。特に背の青い魚(イワシ・サバ・サンマ・マグロ・カツオなど)にはDHAやEPAが含まれています。お酒を飲むなら、ポリフェノールを含む赤ワインがいいでしょう。

定期的に有酸素運動をします。ウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクスなどの軽い運動をして、酸素を取り入れて脂肪を燃焼させます。

引きこもらずに、できるだけ人と接するように心がけることも大事です。

認知機能を低下させないために、二、三日前の出来事を日記に書いたり、複数の事柄を並行して行ったり(料理を二つ、三つ並行して作る)、新しいことを始める計画を立てたりします。

 

認知症の予防は決してむずかしいことではありません。日常の習慣をほんの少し変えればいいのです。家族が軽度認知症と診断された場合も、決して慌てず、本人が認知症予防に取り組めるように手を貸すことが大事です。

また、周囲としては認知症のメカニズムや性質をよく理解することで、たとえ実の親から他人扱いされたとしても、ショックやストレスをやわらげることにつながります。認知症理解でショックをやわらげる

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。