もの忘れと認知症の違い

2015/09/28

買い物をする時に何を買うのだったか忘れてしまったり、同じことを何度も言ったり、言葉が出てこなくて「アレ、ソレ」で済ませてしまう…年をとっているから当たり前よ、と口では言いながら内心「もしかして認知症かも」と不安になられている方もいらっしゃるのではと思います。

よく「加齢によるもの忘れ」と「認知症」は違うと聞きますが、一体どんな違いがあるのでしょうか。 

もの忘れと認知症の違いをまとめました

もの忘れの仕組み

そもそも「もの忘れ」とは何を忘れているのでしょうか。近年、もの忘れには「ワーキングメモリ」が関係しているのではないかと言われ研究が進められています。
ワーキングメモリとは、簡単に言えば行動をしながら一時的な記憶とどめるもの。たとえば、電話をかける時は電話番号を一時的に覚えています。人と会話する時は、相手に何を言われたか一旦覚えて返事をしています。こうした機能から「脳のメモ帳」といわれています。

このワーキングメモリは同時に3つぐらいのことしか出来ないのだそうです。そして、疲れていたり、何かに気をとられたりしてうまく働かないと、「あれ、一体何をしていたんだっけ?」となるのだとか。
また、このワーキングメモリの働きがピークになるのが20代から30代。それから年をとるにつれて機能が落ちていくそうです。加齢によるもの忘れは、ワーキングメモリの働きが影響していると言われています。

もの忘れを防ぐには

ということは、「年相応のもの忘れ」はこのワーキングスペースを鍛えれば改善されるということになりますね。同時に何かをしたり考えたりすることが「もの忘れ防止」のトレーニングになるそうです。

同時並行で準備を進める料理はトレーニングにぴったり。いつもと違う手順で効率を考えたり、新しいレシピを考えるとなお良いそうです。また、運動も脳の血流を増やしワーキングメモリを活発にするそうです。

「加齢によるもの忘れ」と「認知症」の違いとは

この2つを分けるものは、行動の一部を忘れているか、行動そのものを忘れているかの違いです。よく例に出されるのが、「朝ごはんで何を食べたか思い出せないのが、年相応のもの忘れ。朝ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのが認知症」です。忘れていることを周りの人に指摘をされてから気づく時は、認知症を疑った方がよいかもしれません。 

認知症は早期の診断、早期の治療がカギ

「何かがおかしい」と思われたら、まずは生活を共にしたり日常的に付き合いがある人に相談してください。また、家族の方も何か違和感を覚えたら、まずは注意深く見守り、そして「もの忘れ外来」などの専門機関に相談してください。

なお、次のように「治せる」認知症もあります。もの忘れだけでなく、身体症状が出ていたら迷わず脳外科へおかかりください。 

・慢性硬膜下血腫
頭蓋骨の内側にある「硬膜」のさらに内側で出血を起こし、できた血の固まりが脳を圧迫することで、片マヒやもの忘れなどが生じます。ほとんどの場合、CTで検査することで診断でき、手術で治療することができます。

・特発性正常圧水頭症
脳を包んでいる「脳脊髄液」がうまく循環・排出されずにたまってしまうことで脳を圧迫します。物忘れ、失禁などの障害とともに、歩幅が狭くなる・すり足で歩くなどこの病気特有の歩行障害がでます。CT検査で判明し、脳脊髄液を排出する手術で治療することができます。 

残念ながら、アルツハイマー型などの認知症を完治させる治療法はありません。しかし、認知症の進行や脳の機能低下を遅らせる薬物療法があります。また、症状に応じて脳の機能を活性化させるリハビリテーションも行われます。 もの忘れと認知症の違い

 

「認知症」に対する不安や恐れは大きいものですが、早く治療を開始すればその分進行を遅らせることができます。できるだけ早めに行動されることを願っています。

この記事を書いたライター

本間 純子
本間 純子

「色々なことがあったけれど、悪くない人生だった」と要介護の父、持病がある母に思ってもらえれば。そう願って、時には激烈なケンカをしながら一緒に暮らしています。
老いや病気はきれいごとでは済まないこともありますよね。それでも前に進んでいかなければなりません。人生の先輩方や支える家族の方々が、できるだけ元気で楽に暮らせるような情報をお伝えできればと思います。
どうぞよろしくお願いします。