高齢者にとって有用性を増すサプリだが…

2015/10/07

現代社会は、食事の栄養バランスが取れていないと感じる人が多いせいか、サプリメント(以下サプリ)全盛といえます。
新聞・雑誌広告、テレビCMで大手企業が次々登場してきたように活況を呈し、
サプリ市場は昨年で1兆5,000億を超えている規模となっています。

その背景として、健康志向の人が増えていることもありますが、
簡単手軽に症状を改善できるという対症療法的な考え方が広まっているようです。
ここ数年では、大手企業によるこの市場への本格的な参入によって、企業イメージを前面に出した巧みなテレビCMも散見されるようになり、サプリ自体に信頼と安心感を覚える消費者も多くなったのではないでしょうか。
また、見逃せないのが日本の高齢社会化の進展です。高齢になると食も細りがちで消化能力も低下し、若いときほど通常の食事での栄養摂取を充実させることが困難になります。
こういったことが複合的に作用し、市場の拡大をもたらしているようです。

しかしサプリは、医師の処方で服用する薬と違い、専門家の判断が介在しません。
個人の判断で様々の栄養素を体に入れることの危険性が指摘されています。

高齢者に人気のサプリメント。でも、見逃せない副作用 

埼玉県生活科学センターの調査によれば、
・ビタミンEのサプリで、1日当たりの必要量を上回る商品が多い
と指摘しています。
また、米国心臓学会は
・ビタミンEの過剰摂取が心臓疾患による死亡率を高めている
・ビタミンCに関しても過剰摂取によって銅の吸収を妨げ、またカルシウムと結びつ
 くことで結石ができやすくなる
・ベータカロチンは体内でビタミンAとなり、過剰摂取で肺がんの発病リスクを高
 め、ビタミンB2は過剰摂取でうつ病を引き起こす恐れもある 
・その他カルシウム、イソフラボン、カテキン、リコピン、ルテイン、アントシアニ 
 ンなどの摂り過ぎにも注意が必要
と報告しています。

他方で、宣伝には「○○が多いから他社製品より有効」と思わせるような文言が多く、過剰摂取の危険を知らない人が多いことを前提にアピールポイントが設計された宣伝となっています。

消費者としては「期待する栄養素の含有成分が多ければ多いほど良い、多ければ多いほど効く…」といった間違った認識を改め、冷静にサプリの効用とリスクを確認していきましょう。

しかし健康になりたいという万人の希望に応えるものとして開発され実際に効果のある場合もあるのは事実です。

では、家族の健康を確保・維持するために、これらサプリをどのように位置づけたら良いのでしょうか。

高齢者を抱える家族の健康にとってもやはり大切なのは通常の食事

健康を維持するためには、やはり昔から言われているように、規則正しい生活、毎日決まった時間帯にとるバランスのとれた食事内容、適度な運動、そして十分な睡眠・休息といった基本が何よりも大切です。
これらの点をないがしろにした、例えば食事はとらずサプリをただ飲んでいれば、ダイエットもできるし健康にもなれる、といったことは間違っています。 

家族の食卓を担う方には、主食・副菜・主菜・乳製品・果物をバランス良く摂る配慮が望ましい。
基本的なところを押さえるには、農林水産省の「食事バランスガイド」が参考になります。

a0002_012013 ・主食はエネルギー源である炭水化物のごはん、パン、麺、パスタなどで、
 1日の望ましい量は、ごはん中盛り4杯程度。
・副菜はビタミン、ミネラル、食物繊維などを含んだ野菜、いも、豆類(大豆を除  
 く)、きのこ、海藻などを使った料理で、1日に5皿程度が望ましい量。
 …最近では1日350gの野菜を食べるよう勧められており、テレビCMなどで多く目にするようになった。 
・たんぱく質の供給源である主菜は、肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを使った 
 料理で、1日に3皿程度が望ましい量。
・主にカルシウムを含む牛乳、ヨーグルト、チーズなど乳製品は、1日に牛乳一本程度が望ましい。
・果物はビタミンC、カリウムなどの供給源で、1日にミカン2個程度が望ましい。

家族の健康確保には「毎日の食事からバランスの良い栄養素を体に摂り入れること」
これが何より大事なことです。
サプリに頼るのは、高齢で通常の栄養摂取が上手くいかない場合などあくまで補完的な解決策と位置付けましょう。