手元供養は法律的に問題があるのか?

2015/10/08

その生命は途絶えても、大切な人の存在は、常に身近に感じていたい……。
残された家族のそんな願いに応えるのが「手元供養」。
故人の遺骨をすべてお墓に入れるのではなく、一部もしくは全部を手元に残すという供養のあり方です。

遺灰の加工技術向上によりさまざまなスタイルを選択できるようになった「手元供養」ですが、法律に触れるのでは?と心配されて躊躇する方も多いようです。

あの人の思い出とともに生きたい……
そんな思いを叶えるためにも、「手元供養」とこれに関連する法律まわりについて知っておきましょう。 a0960_005948

遺骨・遺灰は墓地に埋葬しないと違法?

故人の遺骨を自宅で保管する「手元供養」。
大切な人を失った家族の心を慰める新たな供養の形として、注目されてきました。
以前は、「一般的なお墓への埋葬ではなく遺骨や遺灰を自宅で保管する」ということについて、「故人が成仏できないのでは?」といった不安の声がよくあがりました。
昨今はビル型の納骨堂が都市部では大変な人気を博したように、多様な納骨スタイルが当たり前になることが背景にあるのか、このような不安の声はあまり聞かれなくなりました。一般的にはもはや「迷信」といった位置づけで受けとめられているようです。
他方、法律に関する意識が高まりつつあることを反映してか「(手元供養が)法律違反になるのでは?」との不安の声が目立つようになりました。

そこで今回は、「手元供養」と法律との関係について整理してみました。

1948(昭和23)年制定の「墓地、埋葬等に関する法律」では、その第4条に
「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」
という条文があります。「遺骨や遺灰は必ず墓地に埋葬されるべき」と読み取れ、
したがって「自宅での保管は違法」となるのではないか?という疑問が出てきます。
「手元供養」に関して法律面の不安を感じる人は、多くの場合この条文によっているようです。

遺骨の自宅保管である「手元供養」は合法

しかし、墓埋法第4条の上記表現が禁止しているのは、「霊園や納骨堂として定められている以外の場所、例えば他人の所有地や自宅の庭などに遺骨や遺灰を埋める行為」であり、「焼骨を自宅で保管する行為」はこの条文に違反するものではないという見解が示されています。

最近は、お墓がなくご自宅のお仏壇の下にご遺骨を安置している家庭も多くなりました。そういった場合でも、法律違反とされることはありません。

つまり、「すべての遺骨・遺灰は必ず墓地に埋葬されるべき」という決まりはありません。「家の中」というプライベートな空間で、他人に迷惑をかけることなく行う「手元供養」には通常なんらの法的問題もないといえるでしょう。

ここで重要なのが、自宅敷地内であっても「埋葬」することはNGとされている点です。霊園以外の場所に遺骨を土中に「埋葬(埋める)」する行為は上記条文で禁じられています。                                ですので違法性のない「手元供養」とは「土中に埋めない」供養スタイルになります。

手元供養の場合、手元に置かない分の遺骨はどうしているのか?

遺骨を自宅で保管する「手元供養」ですが、                  すべての遺骨を手元に置いておくのは負担も大きくなります。          多くの「手元供養」では、遺骨の一部を保管しやすい状態に加工したり収納したりして保管します。その際に「手元に置かない分」の遺骨をどうするのかといった問題が発生します。

大切な人の遺骨を、手元に置けないからといって処分するといったことは通常心理的に抵抗があるものです。また、対応によっては上に挙げた墓埋法にも触れてしまう可能性もあります。
もともとお墓をお持ちであればそのお墓に、そうでなくても親戚のお墓に残りの遺骨を入れてもらうというのが一般的です。
そういった解決策が無い場合には「一般墓をそのために建てる」ということはあまりなく、費用的に比較的負担が小さな合葬墓や散骨を選択されることが通常です。

 

多く誤解されているように、大切な故人の遺骨を自宅で保管する「手元供養」が法律違反であるということは、現時点ではありません。
身近に遺骨を置くことで残された者がその悲しみを和らげ、故人の霊を慰めることができるのであれば、積極的に活用したい供養方法でしょう。

この記事を書いたライター

スガ マヒロ
スガ マヒロ

「きれいでありたい!」「限りある人生を楽しみ尽くしたい!」 そんな欲や煩悩にまみれた「此岸」にこそ、清廉至極の「彼岸」に劣らない魅力があるはず。いつかは終わりを迎える人生を、少しでもよいものとするそんな「あがき」こそ、この世に彩りを与えるスパイス。
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