あなたの死後、家族の絆が深まる遺言を

2015/11/04

一生の最後に家族に残す言葉。

親子でも時に許せなかった事もあるでしょう。
また、金銭問題、人間関係で揉めていることもあるかもしれません。

それでも自分が死んだ後に、遺された家族同士が元気で仲良くしていってほしい。

愛を伝え感謝を伝えるのはもちろん、最後にさまざまな思いを伝える方法の一つが、『遺言』なのです。

 家族 遺言

外国の話ですが、子供の健康を願って禁煙を遺産相続の条件にする面白いニュースがありました。
子供に対して、「喫煙を止めること」を相続の条件として、遺言に記していたのです。結局、父親の死後、2人の息子は禁煙できずに、遺産は娘2人のものとなったそうです。
残念ながら、この記事では親心は届かなかったようですが、そんな事も含めて親の最期の思いや願いを伝えてくれるのが遺言なのです。

遺言書に必要な形式はどんなものか?

まず、遺言書作成に関して分からないときは、無理をせず行政書士や司法書士、弁護士といった法律家(士業)の方に相談される事をお勧めします。
というのも、せっかく書いた遺言が形式や内容の不備によって無効となり、本人の思いが果たされないということも有り得るからです。

ただ、もちろん自分の手で書く事もできます。ここでは、おおまかな手順と注意点などについてご説明します。

遺言書を書く場合、修正できるような鉛筆等ではなく、書き換えできないもので書き、必ず全部自分で書く、つまり全文を自筆にするようにしましょう。 

内容ですが、文章名として必ず「遺言書」と書きます。

不動産は登記簿(全部事項証明書がいいでしょう)で確認し、住所や地目地番を正確に記入し、誰に相続させるかを明記しましょう。銀行等の預貯金も同様です。

一つの財産を複数人に分割するのであれば、各人ごとの割合を書く事となります。

残った細かい財産についての取り決めも必要です。記載の他に財産があった時のトラブルも防げます。たとえば、「残りは全部妻に」や、「残りは長男5割、長女5割」という文言を入れておくと良いでしょう。 

遺産を渡す相手が法定相続される家族ではない場合、当然にはその相手に相続されませんので遺贈の手続きが必須となります。なお、あくまで故人の意思により譲渡する「遺贈」は、法律上の扱いとして「相続」とは異なるものと位置付けられており、細かな部分で若干の違いがあります。違いの内容はここでは割愛しますが、このように似たような意味であっても、記載する言葉によって法律上の効果には変化が出ますので注意する必要があります。 

最後に、住所や名前、書いた日付、押印(できれば実印)し、封印をしておく必要があります。

また、遺言書は財産の分配を残すだけでなく、遺言書の中で遺言執行者として音頭をとって手続きを進めてもらう人を指定することができます。
弁護士さんや行政書士さんといった法律家(士業)に相談されているのでしたら、そういった士業の方を指定しておくと安心です。家族の誰かの場合には、必要となる法的な知識を欠くことや、また周囲から十分な信頼が得られていない場合に「不公平な扱いをされた」と不信感を募らせられてしまう場合もあります。

他に、付言事項という位置づけで遺される家族へのメッセージを書く事もできます。特に法的な意味はないですが、感謝の気持ちや、家族への思いを書いておくとよいでしょう。また、財産の分配についてなぜそのような判断をしたのかといった思いを誠実に伝えることで相続人間での納得感を高めしこりを残さない結果にもつながりやすいものです。

遺言書は自分で法的に有効なものを書くことができるとは言っても、色々細かい規則がありますので、最初に申し上げたとおり無理せず法律家に相談しましょう。遺言書に形式上のミスがあり法的に有効なものではなかった場合に、相続人間でのトラブルとなりやすくまた、ご本人の最後の意思がうまく実現されない、ということにもなってしまいます。

遺言書を使って家族に生前から思いを伝えておく

また、遺言書を書いてこっそりと残しておくだけではなく、その遺言書を使って家族とのコミュニケーションをしておく、生前に周囲に思い伝えるために、遺言書というツールを活用するといやり方もあります。

確かに法律上の効果は、難しくなりがちな事を単純化してくれるかもしれません。ですが、人と人との関係はそうは簡単に割り切れないことも多々あります。

遺言でポンと突きつけられただけでは、家族が受け入れられない場合があります。
そうなると、遺言が正しいものであったとしても、実行されるまでに時間がかかったり、相続税等で受けられる特典が受けられない可能性もあります。また、なにより遺された家族の間にわだかまりを残すことになるかもしれません。

また、子供や妻、親の場合には、遺言で相続人から外したつもりでも遺留分というものが発生します。いくら遺言書に、「相続させない」という内容が書いてあったとしても、法的には遺留分が権利として認められるのです。何らかの事情により遺留分権者に相続させず、他の人にその分も含めて相続または遺贈することを希望するのであれば、きちんとその理由を伝えるなどして、遺留分権者となる方の納得を得ておく他ありません。

遺された家族としても、遺言書があるがゆえの法律上の効果にいやいや従わされるのではなく、あなたの想いに納得し共感し、その想いを実現しようと主体的な気持ちで財産の分割を進めたいはずです。遺言書の法的効果だけに頼ることなく、生前からの意思疎通を大切にしていきたいものです。