争いやすい遺産分割 相続の恐ろしさ

2015/11/10

相続争いをしたい、という人はほとんどいないでしょう。
できれば円満にことを運びたいと思うのが当然です。
しかし、「争続」「争族」という言葉が生まれるほど、遺産相続には争いがつきもののようです。

「自分は財産にあまり興味がない」
「兄弟姉妹の仲がとても良い」
なんて思って安心していると、思わぬ落とし穴に陥ることになるかもしれません…!

争いやすい遺産分割 相続の恐ろしさ

遺産の分割「財産を兄弟で平等に分けることに納得できない!」

遺産相続の中心課題である遺産分割。法律の定める通りであれば、
 ・配偶者に半分
 ・残りの半分を子供たちで均等に分配
と分けられます。
子供が2人であれば、1人当たりの相続財産は全体の4分の1となります。

この場合のように、配偶者が存命、つまり両親のどちらかと財産を分割するのであれば、問題が起こることは少ないようです。
争いになるのは、兄弟姉妹だけで相続する場合。
そこには以下のようなよくある原因が隠れています。

例えば、父親が先に亡くなった場合。
父親の面倒を看たのは、主に母親だったというのが一般的です。
しかしその後、その母親が年老いた時はどうなるのでしょうか。
何人もの兄弟や姉妹が、平等に母親の世話をするでしょうか。
ほとんど長女に任せっきりだったり、また長男の配偶者が介護をしていたり・・・
遺産は平等に分けられますが、介護の負担はきっと平等ではなかったはずです。

あるいは、父親の商売を兄弟の中で次男だけが継いでいて、ほとんどの財産はその商売、しかも次男が中心となって支えた時期から得たものだとしたら……。
お盆とお正月くらいしか実家に帰って来ないほかの兄弟姉妹たちと、同じ金額の相続で果たして納得するでしょうか。
また、このような場合には商売の継承性という側面から考えても、商売を支える各種資産が広く分散することの不都合は大きいはず。

兄弟姉妹それぞれの家庭の事情も絡んで・・・

兄の夫婦には子供がなく、
妹には子供が3人もいる場合はどうでしょうか。
弟だけはずっと独身かも知れません。
それぞれの家庭で必要な金額やその切実さが違うのは当たり前です。

兄は事業で裕福な資産家となっているのに、
弟はフリーターなんてこともあるでしょう。
そんな場合、弟は、兄に甘えたい気持ちになるのではないでしょうか。

平等に分けられない”家”の遺産

また、家の問題もあります。
現金はそれほどなく、遺産のほとんどが自宅不動産の場合です。
親が亡くなるまでその家で長男夫婦が親と同居していたとしたら、長男夫婦としては親の没後もそこに住み続けたいと思うのが当然でしょう。
それでも遺産を平等に分割するために、長男は、自宅不動産の一部、兄弟の取分となった相続財産に相当する部分を現金で渡さなければなりません。
自分の預貯金を切り崩すのでしょうか。。。
それとも住んでいる家を売却するのでしょうか。。。
自宅以外の処分できる遺産だけを受け取ることで納得してほしいと長男は思うかも知れません。

さらに複雑化させる法定相続人以外の相続人

遺言書によって、法定相続人である兄弟姉妹以外の第三者に、ある程度の財産を遺す場合は、より複雑でしょう。
熱心にお世話をしてくれた長男の嫁や介護士に財産の半分を、という例も考えられます。

兄弟姉妹以外の法定相続人、つまり故人から見た父母や配偶者、子どもには、遺留分というものがあります。
たとえ故人が遺言で身内以外の者に全額を寄付するとしていても、相続財産の半分(法定相続人が父母しかいない場合は3分の1)は、遺留分として故人の意思とは無関係に法定相続人が確保することができます。
しかし、その遺留分をもらうだけで、納得できるものでしょうか。
自分たちは血のつながった息子や娘です。
他人が親の財産を半分も相続するなんて、仕方ないと納得できる人がどれほどいるでしょうか。

「遺産争族」にならないために・・・

自分は大丈夫、と思っていても、いざとなったとき避けられない争いがあるかもしれません。
そうなると、元の兄弟姉妹関係に戻れなくなり、親の命日に集まったり、親の墓参りに誰もいかなかったり、そんな悲しい家族になることも少なくありません。

遺言書の準備や重要なキーマンを納得させておくなど、争いにならない遺産分割となるよう相続対策を行っておくことが重要です。
相続対策はなにも節税だけが目的ではありません。大切な家族・親族の絆が失われないよう、「遺産争族」にならないよう、元気な内から手を打っておきましょう。