大きな病院より安心、近所のかかりつけ医を持ちましょう

2015/11/16

Aさんの家から電車で30分ほどのところに、とても評判のいいZ総合病院があります。
最新式の検査機器がそろい、明るい雰囲気の入院施設があります。
お医者様は優秀、看護師さんは親切と、文句なしの病院なのですが・・・。

ある日突然、具合が悪くなって、

Aさんは会社を定年退職して10年ほどになります。
趣味の将棋や囲碁に没頭し、時には釣りに出かけて、と毎日元気いっぱいに楽しんでいました。

ところが、ある朝、気分が悪くて起きられなってしまいました。
背中と胃が痛むのです。
Aさんは医者嫌いで、かかりつけのお医者さんもいません。
昼近くまで我慢していましたが、ついに家族が救急車を呼び、Z総合病院に運ばれました。

病院の対応はすばやく、医者も看護師も頼もしく親切でした。
心筋梗塞という診断で、1週間ほど入院しました。
入院中、治療とともにいろいろな検査をしてもらいました。

検査の結果、脳梗塞も起こしていたことがわかり、退院後も定期的に通院して、薬を飲むなど治療を続けることになりました。

救急車で運ばれた時とはちがう・・・

後日、Aさんはあらかじめ予約した時間通りに診察を受けに行きました。
しかし、待合室は患者でいっぱいです。予約時間が過ぎても、Aさんの番にはなりません。
2時間近く待ってやっと診察を受けられたのですが、その後の検査室でも1時間ほど待たされてしまいました。
さらに処方箋を受け取り、会計を済ませるまでにも時間がかかりました。
家に帰った時はへとへと。すぐベッドに入り、食事をする元気もありません。

次の診察の時は、「(前回長く待たされたのは、)もしかしたら前の方が想定より早く診察が終わって(私が着く前に)私の番が来てしまったために後に回されたのが原因だったのかもしれない」と考えて予約時間の30分前に着くように行きました。
しかし前回より長く待ってもAさんの番になりません。
待っているうちに気分が悪くなり、タクシーに乗って帰って来てしまいました。

入院中は、何もかもテキパキとスムーズに動いていたのに、どうしてこんなに時間がかかるのでしょう…?  
Aさんは、病院へ行くのが嫌になってしまいました。。。

大きな病院は待ち時間が長い?

Z総合病院が悪いわけではありません。
その病院は高齢者治療に力を入れていると評判で、高齢の患者さんが多い病院です。
そのため、医者は患者さんの訴えをよく聞き、また、病状や治療方針を納得いくまでじっくりと説明するようにしています。
検査も患者さんの不安をとりのぞきながら行います。
時間がかかってしまうのは当然なんです。

また、外来と違って入院中の場合には、患者はもともと院内にいるわけです。診察は医者の方で時間の調整ができた段階で病室まで来てくれますし、検査も同様の形で行われますから「待つ」必要がないのです。

入院は大病院へ、普段は街のお医者さん(かかりつけ医)へ

Aさんのような場合、実は近所にかかりつけのお医者さん(かかりつけ医)を見つけておくと便利なのです。
もちろん病院に行った方がいい場合はあります。でも、ちょっとした風邪や胃腸の不具合など診てもらうには、街のお医者さんで十分ですし、通院の負担を考えたら大病院とは段違いです。また、ふだんから接していれば、早いうちに異状に気づいてもらえることも多いでしょう。

また、かかりつけ医は、精密検査が必要な場合など自院の設備や体制等では手に負えないと判断した場合、大病院や専門病院に紹介状を書いてくれます。
紹介状があると、大病院の初診料も安くなるのでお得です。

さらに、最近かかりつけ医が特に注目されている背景にはもう一つ大きな理由があります。
現在、終末期を病院で過ごすのではなく施設や在宅で…という大きな潮流が始まっています。在宅での介護や医療・看取りまで考えたときに、実現のカギを握るポイントの一つが、適切なかかりつけ医との関係構築なのです。
最期までどんな形で生活していくのか、実現できる生活の質に大きく関わるということで関心が高まっています。

かかりつけ医

かかりつけ医になってもらうお医者さんの「賢い」選び方

①家の近くにある医院や診療所であること

歩いて通える近さなら、少し調子が悪いというときでも、気軽に相談できますね。

②どんな病気でも診てくれること

たいていの街のお医者さんは、内科・小児科の看板を上げていますが、あまり専門領域に偏らず、どんな病気でも診てくれることが大切です。

②患者さんの話をよく聞いてくれること

軽いうつ症状などは、お医者さんに話を聞いてもらうだけで気分が晴れることもあります。
そういうお医者さんが見つかったら、隠したりとりつくろったりせずに正直に何もかも話してみましょう。

③病気の状況や治療方針など、わかりやすく納得いくまで説明してくれること

大病院の検査結果などについても、よくわからない点をとことん説明してくれると、例え容易に完治しない症状を抱えていても病気と闘う勇気が持てます。

④いつでも診てくれること

病気はいつ襲ってくるか、わかりません。
いつでも診てもらえることが大切です。
大学病院に勤務しながら、診療所を開いているお医者さんも多いのですが、「週に3日しか診療しない」というのでは頼りになりません。
代理の医者がいる、家族で診療している、など、できるだけ休診日の少ない方が安心です。

⑤よい専門病院を紹介してくれること

「お医者さんの出身校によって、紹介してくれる大病院が決まる」
なんてこともあります。確かに「大学の系列病院」はあります。
しかし、地域のお医者さんは「大学の系列」より「顔の広さ」を大事にしています。
出身校とは関係のない、評判のいい大病院や優れた専門病院を紹介してくれることが多いようです。
また、「ここの病院にかかりたい」という希望があれば、はっきりと伝えるのも大切です。

また、かかりつけ医は、病気の治療だけではなく、地域の福祉や介護サービスなどの相談にものってくれます。
ふだんから何でも話し合えるような関係でありたいですね。

在宅訪問診療とは?

かかりつけ医が提供するサービスの中で、最近注目されているのが「在宅訪問診療」です。
今までも街のお医者さんは「往診」をしてきましたが、訪問診療は「具合が悪くなったときにだけ患者さんの求めに応じて出向く往診」とは違います。

医療制度が変わり、高齢者が長く入院して治療を受けることが難しくなりました。
高齢者は自宅や老人ホームなどで診療を受けねばなりません。
近所の医院や診療所へ出かける体力があればいいのですが、それもままならない状態の患者さんがたくさんいます。

訪問診療は、患者さんの自宅や老人ホームなどを定期的に訪れて診療します。
患者さんの病状にもよりますが、普通は1週間に1度、または2週間に1度訪問し、予防も含めて計画的に診療を進めます。
それまでの病歴や病状などを関連医療機関と打ち合わせしながら、治療方針を立てます。
さらに患者さんの経済状態や家族関係にも心を配り、相談にのってくれます。

患者さんの容体が急変することもあるので、24時間対応が基本です。
また、容体によっては入院手続きを取るなど、臨機応変に動きます。
そのため、訪問診療医は、緊急時に入院できる病院を確保していること、理学療法士や薬剤師、歯科医など他の分野とも提携・協力関係にあることなどが必要です。

重度の介護を必要とする患者さんは、介護をする家族の負担も大きくなりますね。
訪問診療医の中には、家族の健康維持についても気を配ってくれる先生もいます。
患者の家族も訪問医師の診療が受けられるのです。

一方、患者さんの求めに応じて出向く診療は「往診」です。
いろいろな事情で通院できない患者さんを臨時に訪問して治療することです。
これはあらかじめ予定されていないもので、往診料としてかかる費用も在宅訪問診療の費用と比べると割高になります。
違いを覚えておきましょう。

「在宅療養支援診療所」って表示を目にしますが…

「在宅療養支援診療所」とは、
⑴24時間対応で往診する
⑵緊急時に入院できる病院が確保されている
⑶他科の医師、薬剤師、理学療法士、ケアマネジャーなどと連携している
などの要件を満たしていることが行政によって承認された診療所です。
訪問診療をうけるときには、この表示がある診療所だと安心です。

訪問診療を希望する場合、地域のかかりつけ医を探す場合は、地元の下記施設や団体窓口に相談してみましょう。

 市役所の介護保険担当窓口
 介護支援事業者(ケアマネジャー)
 訪問看護ステーション
 在宅介護支援センター
 保健所
 地域の医師会

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。