遺影写真の今と昔

2015/11/17

皆さんは遺影写真と聞いて何を思い出しますか。
白黒で着物をまとったご先祖様。
仏間の鴨居にズラリと並ぶいかめしい写真・・・。

幼心に近寄りがたい印象を覚えた人も多いのではないでしょうか。

時代の移り変わりの中で、遺影写真も平成仕様に変化しています。
遺影の今と昔をひも解いていきましょう。

写真

遺影写真のはじまり

遺影はいつから用いられるようになったのでしょうか。
遺影のルーツをたどっていくと、江戸時代にさかのぼります。
しかし、当時は肉親を対象にした遺影ではありませんでした。
江戸時代、亡くなった歌舞伎役者を描いた浮世絵(=死絵)が、遺影の起源といわれています。

また、遺影写真はたくさんの人が命を落とした戦争とも深く結び付いています。
1877(明治10)年の西南戦争では、死を覚悟した軍人の間で、肖像写真の撮影が流行したことがありました。
また1894~1895(明治27~28)年の日清戦争では、戦死者の遺影が雑誌の誌面に掲載されたそうです。
今日の終活ブームで、遺影を生前に準備する傾向がありますが、亡くなる前に遺影写真を撮っておこうという準備はこの時代にもあったのですね。

昔の遺影写真 -厳粛な印象

かつては遺影写真は「おごそかな表情で、身に付ける衣服は礼服」というのがスタンダードでした。
「歯を見せた遺影はよくない」
「横向きの遺影はよくない」
「普段着の遺影もいけない」
などと厳粛さを出すための慣習があり、その人らしさは求められませんでした。
そのため、顔だけを切り取って黒の礼服に合成することが多くありました。
このころは修正技術も高くなく、とってつけたような印象の遺影写真を見ることが多かったのではないでしょうか。

今の遺影写真 -その人らしさを表現

今日の遺影写真はどうでしょう。
現在用いられている遺影写真はバリエーションに富んでいますね。
モノクロではなくカラー写真が一般的です。
“その人らしさ”が重要視され、表情は笑顔のものが多くなりました。
歯を見せた笑顔の写真を使用する人も増えていますし、横顔や帽子をかぶった写真を遺影にする人もいます。
リラックスした、いつもに近い表情が一般的となりました

また服装も礼服ではなく、お気に入りの洋服を着ている写真が非常に多いです。
個人の趣味で身に付けていた衣服、踊りの衣装なども、その人らしさが伝わる素敵な遺影写真になりますね。
遺影写真を専門に撮影する写真スタジオもあります。
ぜひ、調べてみてはいかがでしょうか。
ゆったりとした時間の中で、俳優、女優気分を味わいながら、思い出にも残る撮影ができるようです。

遺影写真

遺影写真を選ぶポイント

では実際に、遺影写真を選ぶとき、何に気を付けたらいいでしょうか。

①ピントが合っていること

②写っているサイズが大きいこと

遺影写真の大きさは四つ切サイズ、
新聞1ページの4分の1の大きさが一般的です。
引き延ばすとぼやけてしまうことを考慮し、ある程度本人が大きく写っていることが必要なのです。

③その人らしい写真

基本的には近い年齢の写真から探すことが多いでしょう。
しかし、病気の治療などでやせてしまったり、写真を撮影できなかった方などは、若いころの映りの良い写真を選んでみるのもおすすめです。
一番その人らしい写真を選びましょう。

④家族の皆さんで気にいったものを

遺された家族の方が毎日目にするものです。
ご本人が気に入るのはもちろんのこと、家族の皆さんで話し合って気に入った写真を見つけてくださいね。
もし1枚に絞りきれない場合には焼香台の脇に飾ったり、メモリアルコーナーを設けて写真を並べるという形で、葬儀の場に活かすこともできます。

日常のお気に入りの写真を遺影写真に

携帯電話やスマートフォンで撮影した写真も遺影にすることができます。
今日の技術では、着衣や一緒に移っている人物・背景は、たいていきれいに修正ができます。
背景が適切かどうかや、一人で写っている写真であるか否かということに捉われずに、写真を探すことができるのです。
背景は消すだけでなく、花や景色などを入れ込む・合成することも可能です。
お気に入りの写真を自由に選んでくださいね。

注意点として、携帯カメラの写真を使用する際には画素数の確認が必要です。
画素数が少ないと仕上がりがあらくなってしまいます。どの程度引き延ばすかにもよりますが300万‐400万画素以上であれば通常は問題ないようです。
また、着衣の修正は仕上がりの観点からあまり勧めていない葬儀業者もあるということですので、事前に衣服を準備できるときは衣服は修正しないつもりで選んでおくといいでしょう。
もちろん、ショルダーバッグの肩紐といった微細な修正は、きれいに仕上がるようです。

もちろん、遺影写真の原稿はデータでも、写真そのものでも対応できます。
さすがデジタルの時代ですね。

自由な遺影が主流となった現在、遺影写真を選ぶ新しい悩みが生まれています。
それは撮影する写真の量が増えて、ますます遺影写真を選ぶのが難しくなったという・・・。
なんとも贅沢な悩みです。

スマートフォンで撮影した写真を遺影写真にするなんて、明治時代にはだれも想像しなかったでしょうね!

この記事を書いたライター

三浦 知子
三浦 知子

幸せってどういうことなのだろうと考えたときに、私は自分らしく、その人らしくいられることなのではないかと思います。

人生の終盤をどのように過ごすかは、人間にとってとても大切なことです。世間やほかの人の価値観ではなく、ご自身が今までに培ってきた考え方を生かして豊かに過ごしていただきたい。そのお手伝いができることを、とても嬉しく思います。