“ホスピス”という選択[2] 急いで決めたお墓のこと

2015/11/24

磯山信子(宮崎県在住、60代女性)
“24時間介護”の日々、娘夫婦に任せてお墓を購入することに 

必死だった生活

夫が突然の末期がん宣告を受けた数ヶ月前に、ちょうど私は長年勤め上げた小学校教諭の職を定年退職し、退職金を得ていました。貯金に関しても、老後資金としてそれなりに蓄えていましたので、経済的な心配はありませんでした。なによりも、夫のために尽くしたい想いでいっぱいでした。
在宅ホスピスでは、お医者さんや看護士さんたちが家に訪問してくれるのですが、夫の苦痛を和らげる治療をしてくれるのはもちろんのこと、私のこころの状態も常に気を遣っていただいていたと思います。
その当時は夫の状態についての情報交換くらいにしか感じていませんでしたが、今思うと、私の介護の辛さも気にかけていただいていたなと。

私は“24時間介護”状態でしたが、夫のことを思うと辛くはまったくありませんでした。まだ心の整理はついていませんでしたが、とにかく必死でした。 

気になる“お墓のこと”

夫を看病しつつも、少しお墓のことも気になっていました。夫は次男であり、引き継ぐお墓はありません。お墓なんてまだ先の悩みだと思っていましたので、どうするかを夫と話し合ったこともありませんでした。また、闘病中の夫に今更相談こともできませんでした。
そこで、娘夫婦にお任せでお墓を準備してもらうことにしました。 

娘の言葉に甘え、石のお墓に

私たち夫婦は引き継ぐお墓もありませんでしたし、また、子供は結婚した娘2人ですので引き継ぐ相手もいません。
テレビで永代供養墓や樹木葬について観たことがあり、「私たち夫婦に合っているのかな」と思ってはいたのですが、看病の時にはそこまで頭が回りませんでした。
結局、娘たちの「引き継ぐことはできないけど、ちゃんとお参りはするし、掃除もするから」という言葉に甘えて、永代供養墓という仕組みではあるものの見た目は普通の石のお墓にすることにしました。 ホスピス お墓

夫婦二人だけのお墓

とはいえ、お墓は最優先ではありませんでしたので、完成したのは夫の死後になります。一般的なお墓を建てるのに比べればそれでもずいぶんと簡略化されているそうなのですが、刻字の内容だったり石の素材など選ぶ部分もそれなりにありました。
夫婦二人だけで入るための小さなお墓です。約160万円の背の低い洋型墓石です。もっと永代供養について調べればよかったとも思いますが、娘たちが選んでくれたお墓で、なにより最愛の夫が眠っていますので、とても大切に思っています。

私が入るのはまだまだ先のことだとは思いますが、夫の分も充実したシニアライフが送れるようにしたいものです。
今度、娘夫婦にも第一子が生まれますので、誕生後には連れていきたいと思います。 

※個人のプライバシー保護の為、人物名や施設の場所等、具体的事情は事実と異なる内容となっています。

この記事を書いたライター

まつい
まつい

これまで全国各地の石材店や納骨堂の取材をしてきました。
最近は「終活」という言葉をよく耳にするようになったものの、なにから始めればいいかよく分からない人も多いはず。そんな方々のお役に立てるように、終活にまつわる情報をお伝えしていきます。
終活を通じて、自分のこれまでの人生を見つめ直し、そしてこれからの人生に備えていきましょう。きっと自分にとっても家族にとっても、充実した幸せな暮らしにつながるはずです。