兄から頼まれた「海への散骨」 法的な問題はないのだろうか

2015/12/28

私の兄が亡くなったのは数年前のことです。晩年は疎遠でしたが、二人兄弟でしたし両親はすでに他界しているので、弟として兄の最後の願いは叶えてあげたいと思いました。

亡くなる10日前、兄は死期を悟ったのか闘病中の病院で「俺が死んだら、千葉の海に散骨してくれ」と私に告げました。

 

「散骨願い」の本当の理由

その時は感極まって、涙が出ないようにただ頷いていた私ですが、よく考えてみるとちょっと不自然な気がしました。兄は私とは正反対のいわゆるインドア派で、どこかに旅行へ行ったという話も聞いたことがありませんし、ましてや海について話していたという記憶も全くありませんでした。

兄は未婚でしたし、親戚付き合いも私と同様ありませんでした。親の出身地である広島には代々の墓はありますが、私も兄も幼いころに訪れただけです。ですから、兄はきっと墓の継承や管理で広島の墓に入ると私に迷惑をかけると考えたのでしょう。もしくは縁の薄い墓に入ることをためらったのかもしれませんが、やはり散骨は私への思いやりだったと思います。

 

散骨という言葉は知っていたが・・・

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散骨というと、焼骨を海に直接まくものだと漠然と思っていた私ですが、一般には、遺体を火葬した後の焼骨をパウダー状にして後、海、空、山中などでそのまま撒く葬送方法のことをいうそうです。海に限らず、自然に還すという考え方なのでしょう。

散骨を始めとした鳥葬、風葬といった自然葬は、今でも世界各地で行われているそうです。「骨を砕いて粉と為し、之を山中に散らすべし」と遺詔した淳和天皇や「それがし閉眼せば、加茂川に入れてうほ(魚)にあたうべし」と言い残した親鸞などの例からも、遺灰を山や川にまくことは日本でも自然なことだったと思われます。

 

節度を持って海へ散骨するならば違法ではありません 

葬儀会社を通じて散骨会社の方に相談してみたところ、もっとも注意すべきは、死体等遺棄罪(刑法190条)に問われないように配慮をすることだと教えてくれました。この罪は、「遺骨」を「遺棄」すると3年以下の懲役刑となっています。ただし、1991年、法務省は散骨について「節度をもって葬送の一つとして行われる限り違法ではない」という公式発表をしており、また当時の厚生省は、「散骨の様な葬送の方法については、墓地埋葬法では想定しておらず、法律の対象外である」と表明しているそうです。

実際の方法としては、遺骨と見てわからないようにパウダー状にして、できる限り陸から離れた海でまくのが望ましいといわれています。ただしこうなると個人ではハードルが高いので、やはり専門の業者にお願いするのが安心だと思います。

そんなわけで私は散骨会社を利用して、無事兄の願いを叶えることができました。いいえ、兄の思いやりに私が甘えたといえるのかもしれません。

この記事を書いたライター

久保田 雄城
久保田 雄城

「終活情報を伝える意味について想うこと」

私の母は、今年87歳だが元気に一人暮らしをしている。とはいえ87歳という年齢は当然若くはない。来るべき死に向けて準備をする必要であることは間違いない。これは母自身というより、むしろ息子である私の問題だ。
つねづね私は「よく生きることは、よく死ぬことだ」と考えている。終活とはまさにその「よく死ぬ」為の活動だろう。そのような意味において、私が伝える終活情報は皆様と同じように私もまた知りたい情報なのである。