介護離職の憂鬱 子と親が幸せになるために本当に選ぶべき道は何か

2016/01/21

40代50代の介護離職が増えています。

年間10万人を超えて、今後も増えそうです。

離職して介護に専念するのは、いいのですが、日が経つにつれて将来への不安がつのります。

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介護離職の8割は女性です

親の介護のために離職する人は、毎年10万人を超えています。

介護離職者の2割が男性、8割が女性です。

親、あるいは義親の介護のために離職するのは、40代50代の働き盛りの人に多いと言われます。

働き盛りの社員の離職が増えれば、企業の損失は大きくなります。企業も政府も、その影響の大きさに驚き、介護支援対策をとり始めました。介護休業・介護休暇・勤務時間の短縮などの制度です。

しかし、介護休業をとる人は15%程度です

介護休業は93日間とることができますが、それでは十分ではありません。

介護は育児とちがいます。育児なら1年ないし1年半休めば、職場に復帰することができます。しかし、介護のゴールは見えません。いつまで休めば、職場に復帰できるか、予測がつかないのです。

93日間で介護が終われば、だれも悩むことはないのです。

93日間というのは、「家族に介護が必要になった場合、介護者を見つけたり、介護施設に入所する準備をしたりする」期間なのです。

介護休暇は年5日間です。有給休暇に上乗せして休めます。

しかし、介護休暇と有給休暇を目いっぱい使えば、仕事にさしつかえることがあります。周囲に迷惑をかけることもあります。介護者本人は「職場のみんなに迷惑をかける」ことを、申し訳なく思っています。

介護と仕事を両立させようとがんばって、ヘトヘトになっているところへ、ケアハラ(介護ハラスメント)を受ければ、「会社、辞めます!」と、言ってしまうのです。

女性の場合は、職場の上司・同僚も「介護のための離職は仕方がない」と見ています。

介護相手が夫の両親であれば、夫も夫の兄弟姉妹、親戚達も「嫁が介護するのは当り前」と、考えることが多いようです。

実の両親を介護するのは、「娘だから当然」となります。

女性自身も「私が介護するしかない!」と思い込み、「介護と仕事の両立は難しい」と感じた段階で、離職してしまうことが多いのです。

介護離職者は、男性でも女性でも、離職する時点では介護保険の申請さえしていないことが多いと言います。

 

介護貧乏

離職すれば、当然、収入は激減します。無収入になることもあります。

介護する両親が資産家であるとか、介護者に財産があるとかすればいいのですが、両親の資産は退職金と貯金だけで、年金暮しということが一般的です。介護者にしても、頼みは退職金と貯金だけというケースが多いようです。

介護期間は平均約5年間と言いますが、ケースバイケースで、10年以上介護することも少なくありません。

医療費も介護費用も、症状が進むにつれて増えていきます。健康保険を利用しても、毎月の医療費はかなりの金額になります。介護費用も介護保険だけでまかなうことはできません。

毎日の生活費もかかります。

介護者が独身の場合、無収入に近いのですから、生活費は両親の年金に頼ることになります。

親の年金や貯金を使い、介護者自身の貯金まで手をつけることになります。

介護者が妻である場合、妻が離職すれば、夫婦の収入が減ります。

ダブルインカムで余裕のある生活をしていたのに、きりつめた生活をしなければなりません。妻も、介護のストレスを買物で発散することができず、不満がたまっていくばかりです。

学費のかかる子供がいれば、生活はさらに苦しくなります。

最悪なのは、住宅ローンがある場合です。妻の収入を当てにしてローンを組んでいれば、経済的な負担が重くのしかかります。

介護の負担に加えて、経済負担が大きくなれば、夫婦ともにうちのめされます。せっかく手に入れた家を手放すこともあるでしょう。

介護貧乏になる人は少なくありません。

貧乏生活に耐えながら、介護者は将来の不安をつのらせます。

独身の介護者なら、「介護が終わった後、どうやって食べて行こうか?」と、真剣に悩みます。

離職する時に、40代50代ですから、介護終了後は50~60歳になっているでしょう。再就職は極めて難しくなります。運よく再就職できても、収入は半減します。女性の場合は40%を切ることもあるそうです。

親の年金で生活することもできません。自分の年金が手に入るまで、なんとか食べていかなければ、ならないのです。しかも、中途退職していますから、年金も減少します。

夫婦の場合でも同じです。

妻の再就職がうまくいかなければ、収入は減ったままです。貯金を取り崩してしまい、夫の退職金と夫婦の年金だけが老後の頼りです。

経済的な不安と介護の疲れから、夫婦仲が悪くなり、ついには離婚に発展することもあります。

こうした介護者の不安と苦悩を、介護されている親達はよく知っています。「早く死にたい」「私が死ねば、みんなが楽になる」と、親達は考えます。

それは、介護している者にも、介護されている者にもつらすぎます。

独身の娘が認知症の母親を殺して自殺したり、独身の息子が父親を虐待して殺してしまったりするのは、不安とイライラがつのり、心身ともに疲れきった結果なのです。

 

介護離職は、ちょっと待って

介護は重労働です。1人で背負いきれるものではありません。

特に排泄の世話(排尿や排便の介助・尿や便の始末)は、精神的にも肉体的にも大変きつい仕事です。

介護だけでも心身がボロボロになるのに、経済的な不安が加われば、心身ともに限界を超えてしまいます。介護うつ症になることもあれば、ストレス性の胃潰瘍や十二指腸潰瘍になることもあります。

経済的な不安だけでも、取り除きましょう。

まず、仕事は、できるだけ続けてください。辞めてはいけません。

介護休業・介護休暇・勤務時間短縮などを、できるだけ利用してください。

一人っ子でなければ、兄弟姉妹(夫の兄弟姉妹も含む)と相談して、医療費や介護費用を分担してもらいましょう。

これだけでも、少し気が楽になります。

 

介護も分担してください。

独身者なら兄弟姉妹と協力して、介護するようにしてください。

夫がいれば、夫や兄弟姉妹とよく話し合って分担を決めましょう。

決して独りで背負いこまないでください。

介護サービスも目いっぱい利用してください。

ケアマネージャーさんと相談して、デイケアサービスやショートステイを活用して、仕事を続けられるようにしてください。

 

もし、独身で一人っ子ならば、仕事を続けることを優先してください。介護終了後も、独りで食べていかなければならないのです。

介護を必要とする親を介護施設(介護付き有料老人ホームや特養老人ホーム)に預けて、できるかぎり頻繁に訪問するようにしたら、どうでしょう?

一人っ子の夫婦も同じです。介護のために離婚するようなことになれば、両親は自分を責めます。

 

介護施設に預けることは、親を捨てることではありません。

両親を大事に思うからこそ、施設に預けるのです。施設の人々の力を借りて、一緒に介護をするのです。

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。