何のための結婚・・・私は介護士なのか、妻なのか?

2016/03/09

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40歳を過ぎる頃から、「嫁」には新しい試練が始まります。

夫の両親の介護が、嫁の肩に重くのしかかってくるのです。

 

嫁が介護をするのが、当り前?

「家族の面倒を見るのは、嫁の仕事」という考えが、今でも、50代以上の人には強く根付いています。40代でも、そういう考えの持ち主がいます。

そういう人々は、「育児や教育も妻の責任」と考えているようです。

「家族の介護」は、当然「嫁の仕事」なのです。特に「長男の嫁」は、「夫の両親の介護をするのが当然」と思われています。

 40代前半から30代以下になると、多少ちがってきます。

まず「育児や教育は夫婦2人で行う」と考え、実行しています。

介護についても、「夫は夫の両親を、妻は妻の両親を、介護すればよい」と考える人が増えています。

ところが、この世代の人々の中にも、「介護は嫁の仕事」という考え方が皆無ではありません。

 夫婦が40代後半に入る頃から、両親の介護の必要が生じます。

夫婦の両親は、60代後半から70代前半になり、そろそろアルツハイマー型認知症や脳梗塞・脳溢血などを発症する時期に入ります。糖尿病や腎臓病などの慢性疾患が悪化して、介護を要する状態になることもあります。

 夫の両親と同居していれば、当然のように「介護は嫁の仕事」になります。別居していても、「この際、親と同居しよう」という話が出ます。

妻が仕事を持っている場合でも、夫や夫の家族は平然として「介護のために辞職するように」と言います。在宅仕事なら、問題にもなりません。「介護の合間に仕事をすればいい」と、気楽に考えます。

 最悪のケースは、晩婚です。

最近は男も女も40歳を過ぎてから結婚するケースが増えています。その場合、結婚した翌日から、介護が始まることもあるのです。

 気楽な独身生活を満喫した後の結婚です。若い人達より、夢や希望が大きいかもしれません。

ところが、新婚間もなく、夫の両親のどちらか、あるいは、次々に介護を必要とする状態になるのです。夫は最初から「嫁に介護してもらう」つもりですし、妻は「人間として、介護を拒否すべきではない」と考えてしまいます。

結局、「だまされたような気分」で、妻は介護を始めます。

「介護は嫁の仕事」と、夫や夫の兄弟姉妹・親戚が決めつけるだけではなく、嫁さん自身も、なんとなく「NO」と言えずに引き受けてしまうのです。

 

介護離婚も起きている

しかし、介護は重労働です。

24時間休む暇もありません。ゴールの見えないマラソンのようなもので、しかも、しだいに病人の症状が悪化していくばかりです。

1人を介護するのに1.5人の介護員が必要です。在宅介護の場合、妻が独りで1.5人前の仕事をこなすようになります。

 介護の仕事で一番キツイのは、下の世話(排尿・排便の始末)です。

実の両親の排泄の世話でも抵抗があるのに、義父母という他人の尿や便の始末・排泄介助をするのは、心身に大きな負担となります。

 これを、夫や夫の家族が理解していないことが、よくあります。

「俺もできることはする」と、言うものの、40代後半から50代にかけて、男性は最も多忙で重要な時期を迎えます。会社員ならば、定年前にどれだけ実績を上げられるか、最後のがんばりどころです。「介護を手伝う」気持ちがあっても、つい仕事優先になり、「すべて妻にお任せ」にしてしまうのです。

夫の兄弟姉妹も、「できれば、時々お見舞いに行く程度」にしておきたいのが本音でしょう。

 心身ともに疲れきった妻は、ある日、突然、叫びます。

「あなたは、何のために結婚したの? 私に両親の介護をさせるためなの?私はあなたの妻で、介護員じゃないのよ!」

 この叫びに、夫がどう対応するか、これが肝心です。

対応の仕方によっては、妻の怒りの炎に油を注ぐことになります。

「もうたくさん!あなたの両親の面倒は、あなたが見なさいよ」

捨て台詞を残して、妻が家を飛びだし、離婚へ突き進むこともあり得るのです。

 妻がここまで追い詰められる前に、夫が妻の過労状態に気づいてほしいものです。妻も、忍耐の限界に来る前に、夫に「介護のつらさ」を訴えて、理解させてください。

 介護を始める前に、「できること・できないこと」を話し合い、「仕事の分担」を決めておくといいのですが、これは、介護する妻も「やってみなければ、わからない」ことなのです。

 しかし、介護のために夫婦仲が悪くなったり、結婚が破綻したりしたら、介護されている両親は、どんな思いがするでしょう?

たとえ認知症になっていても、「自分のせいで息子夫婦が離婚した」ことは、なんとなくわかるものです。まして、認知症でない病人は「生きていることが罪」と思うようになります。

 介護離婚を避けるためには、下記のことを心がけてくださいね。

・介護を妻1人に任せない

・夫と夫の兄弟姉妹全員が介護の仕事を分担する

・夫婦でよく話し合い、おたがいの疲労状態を知っておく

・介護サービスや地域の介護支援センター、福祉課などを調べておき、いつでも訪問介護やデイケアサービスを受けられるようにしておく

・特養老人ホームや介護付き有料老人ホームについても調べておく

 

妻の介護には限界がある

夫や夫の家族が手伝ってくれても、介護の主役が妻であれば、妻の負担は日々大きくなるばかりです。

ストレスがたまり、自律神経系の働きが悪くなることもあります。

強いストレスを長期間受け続けると、抑うつ状態に陥ることもあります。

 時には、自分の状態をチェックする必要があります。

①   いつもイライラしている

②   好きなことをしても楽しめない。友人に会うのも面倒くさい。

③   「自分は何をやっても、だめだ」と、自己嫌悪になる

④   自分に自信が持てず、声も小さくなる

⑤   なんでもない場面で、緊張する

⑥   記憶力や判断力が低下している

⑦   寝つきが悪く、熟睡できない。朝、目覚めた時から、疲れている。

⑧   食欲がなく、何を食べてもおいしくない。(過食になる場合もある)

⑨   頭痛・腹痛・腰痛がある。下痢と便秘をくり返す。めまいや動悸がする。やたらに汗をかく。なんとなく体調が悪い。

上記の症状が半分以上当てはまり、それが1ヶ月以上続くようであれば、心身の疲労が限界に近づき、問題を生じていることを疑ってみましょう。

心療内科でカウンセリングを受けるか、地域の介護支援センターなどで専門家に相談するという手段も検討してみましょう。

 夫とよく話し合い、在宅介護を続けるかどうか、検討してください。

1ヶ月ほどショートステイを試してみて、心身を回復させてから、在宅介護を続けるか、介護施設に入るか、決めてもいいでしょう。

在宅介護を続ける場合は、ホームヘルパーさんやデイケアサービス、定期的なショートステイ利用など、できるだけ介護サービスを受けるようにしてくださいね。

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。