仕事も趣味も諦めて・・・ただの介護人生なんて、いや!

2016/04/20

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男性に混じってバリバリ仕事をして、趣味は社交ダンスにテニスに英会話。

ボランティア活動のリーダー役も務めていたのに・・・

今は、仕事も辞めて、介護、介護に明け暮れる毎日。

これが、私の人生なの?このまま年をとっていくだけなの?

 

女性は、介護のために辞職するのが、当り前?

介護のために離職する人が、年々増えています。

女性だけではなく、男性の離職も多く、日本経済の基盤を揺るがす大問題に発展しかねません。

しかし、現実の数字を見ると、まだまだ女性の離職率が高いようです。

「実の両親や配偶者の両親の介護」を理由に辞職する会社員は、2012年現在で年間66,000人います。男性12,600人、女性53,400人で、圧倒的に女性が多くなっています。

年代別に見ると、介護離職は50歳~59歳が最も多いようです。

女性の介護離職者は、50歳~54歳で全体の6.1%、55歳~59歳で9.1%と、割合が高くなっています。

しかも、離職するのは、介護開始から1年以内が多く、しかも、介護離職者の30%が、介護認定を受けていないのです。つまり、女性介護者独りで、要介護の高齢者の世話をするケースが多いのです。

女性は、なぜ介護のために離職するのでしょう?

結婚していても、していなくても、それまで職場で働くことに人生の意義や目標を見出していたはずです。

その収入で趣味を楽しみ、キャリア・アップに努めてきたに違いありません。

定年退職後の生活設計も入念に立てていたでしょう。

それなのに、離職して、キャリアも収入も趣味も、老後の生活設計も、何もかも諦めてしまうのです。なぜでしょう?

1つは、職場の「ケアハラ(ケアハラスメント)」です。

男性の場合もかなりのケアハラを受けているようです。介護休業、介護休暇を利用することは、ほとんどありません。

女性の場合も同様です。

介護休業や介護休暇をとれば、「介護を口実に仕事を休んで、職場に迷惑をかける」などと、嫌味を言われます。勤務時間の短縮や法定外時間労働・深夜労働の制限など、介護支援策もありますが、利用すれば「介護に熱中して仕事がおろそかになる」などと、陰口をきかれます。

そのため、職場にいづらくなって、離職に踏み切ってしまうのです。

ちなみに、職場における介護支援策には、次のようなものがあります。

①   介護休業     
一回だけ93日間、会社を休んで介護に専念できます。
休業中の給与は、会社によって支給額がちがいます。
現平均給与額の40%以下の場合は、介護給付金を受け取ることができます。介護給付金は平均給与額の40%です。

②   介護休暇
年に5日間、有給休暇の他に介護休暇がとれます。

③   勤務時間の短縮等の措置
④   法定時間外労働の制限
⑤   深夜労働の制限

次に、家族・親族の間に、「介護は女性の役割」という既成観念があります。

「娘なのだから」「嫁なのだから」、「両親や義父母の介護をするのは当然」と思われています。50歳以上の人は、まだまだそうした考えが強いのですね。

家族・親族だけではありません。職場の同僚や先輩・上司も、そういう考えが根強いのです。何よりも、女性本人が、思い込んでいる場合が多いのです。

最後に、国の介護制度・介護支援策が、「家庭内に、無職で介護に専念できる人がいる」ことを前提にして、作られているのです。

介護マネージャーに相談して介護サービスを受けようとする時、「家庭内の介護専業人」の必要を痛感して、離職を決意する人が少なくありません。

 

介護の後も人生は続く

介護年数は平均5~8年くらいと言われますが、アルツハイマー型認知症は発症してから余命15年前後だそうです。

この間、介護だけで日々を過ごすのは、耐えきれないことでしょう。

また、若い頃から努力を積み重ねてキャリア・アップしてきたのに、中途で放り出すのは、自分の半生を否定するような気になるでしょう。

そして、離職して収入を失えば、自分自身の老後が不安定になります。

介護を終えた後も、人生は続きます。食べていかなければ、なりません。

しかし、介護離職した人の再就職は、年齢的にかなり難しくなります。

再就職できたとしても、給与は、男性で前の職場の半額、女性は40%未満に減少するという統計があります。

50歳~59歳くらいで離職すると、厚生年金保険も中途で国民年金に切り替えることになります。年金支給額が減少します。

「私の老後は、誰が面倒を見てくれるのか?」

「私の老後の生活はどうなるだろう?」

毎日、介護に追われながら、不安がつのるばかりです。

このような不安と失意を抱えながら、介護ができるものでしょうか?

イエス・キリストかお釈迦様でもなければ、無理です。

介護は重労働です。肉体的にも精神的にも多大な負担がかかり、たいていの介護者が心身ともに疲れ切ってしまいます。

そこへ将来への不安や、人生への失望、挫折感が加われば、精神の平衡が失われてしまって当然です。

イライラがつのり、介護者自身がうつ病になってしまったり、あるいは、介護放棄や高齢者虐待をしたりすることもあるのです。介護者が胃潰瘍や十二指腸潰瘍などストレス性の病気に倒れることもあるのです。

 

自分の人生を大事にしながら介護をしてください

幸か不幸か、50歳~55歳の男性の離職率が上がり、企業も介護を真剣に考え始めました。

50歳~55歳の男性は会社の中核的存在が多くなります。この年代の男性を失うことは、会社の大きな損失になります。

企業だけでなく国も、損失の大きさに気づき、その経済的影響の大きさを無視できなくなっています。

介護制度も、「家庭内に専業の介護人が存在する」という前提に頼ることができなくなっています。

この状況を目いっぱい利用しない手はありません。

まず「ケアハラ」を無視しましょう。ケアハラする人間は「心が貧しい」と鼻先で笑い飛ばしてやればいいのです。

離職することは、できるだけ避けてください。

職場の介護支援制度を堂々と利用しましょう。

介護休業は「いざという時」のためにとっておき、介護休暇と勤務時間の短縮をできるだけ活用してください。

介護保険を申請してケアマネージャーと相談し、デイサービスをできるだけ受けるようにします。

デイサービスは預り開始とお迎えが問題になるので、勤務時間の短縮等で対応するといいでしょう。

仕事と介護の両立で疲れ切っているのですから、デイサービスは月曜~金曜だけではなく、土曜日も利用して、心身を休めるようにしてください。ショートステイも活用して、たまには旅行に出かけるのも、気分転換になります。

最近では「小規模多機能型居宅介護」という施設もできています。預り時間の延長や急なお泊りにも応じてくれる融通のきく施設です。

そして、「介護は私の義務」などとは考えないことです。

家族・親戚全員を介護にまきこんでください。みんなで重荷を負えば、1人1人の負担は、ぐっと軽くなります。

決して独りで重荷を背負わないでくださいね。

この記事を書いたライター

潮美 瑶
潮美 瑶

人生とは「死に至る病」と申します。
生まれ落ちた時からゴールがわかっています。50歳を過ぎる頃から、ゴールが身近に感じられるようになります。
許されるものならば、できるだけ平穏にゴールを迎えたいと思っております。穏やかに、安らかに、悔いもなく、人生の幕を下ろせたら、どんなに幸せなことでしょう。見送る遺族の悲しみも、多少薄らぐことと思います。
終活情報を伝えることで、少しでも平穏にゴールを迎える役に立つならば、私自身にも大きな意味があります。