データでわかるライフエンディング【vol.7】墓への意識

2016/05/09

 

墓の形式は国や宗教などによって様々ですが、人間は古より墓というものを作り死者を弔ってきました。亡くなった大切な人を思う気持ちは、国を問わず人類共通のものなのです。日本でも縄文時代から墓をつくる習慣がありました。日本の古墳やエジプトのピラミッドは、歴史上の巨大な墓として有名です。墓は権力や死者の個性を表現するものでもあったのですね。

仏教では位牌に死者の精神が宿り、墓には肉体が宿るという考え方がなされています。死者を土にかえすという言葉があるように、弔いにおいて墓は大切な役割を担っているのです。「データでわかるライフエンディング」第7回は、ライフエンディングの重要な要素である墓への意識について考えていきたいと思います。

墓は先祖代々引き継ぐのが一般的でしたが、核家族化が進んだ今日、墓の形態や墓に対する考え方にも変化が見られています。タワーマンションが増加し、狭い土地に多くの人々が暮らす東京都民に対して、墓の有無を調査した結果を見ていきましょう。

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自分自身や家族が利用できる墓を持っているかという質問に対して、「持っている」と答えたのは59.0%、持っていないという回答者は41.0%という結果でした。また「持っていない」と答えた人に、現在もしくは将来墓が必要ですかと聞いたところ、60.8%の人が必要であると答えています。時代やライフスタイルは変化していますが、墓が必要だという考えは根強いことが改めて認識できました。

墓を求めるときに重視する点はどうでしょうか。次のグラフを見ていきたいと思います。

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最もパーセンテージが高かったのは「霊園へのアクセス」で27%。「墓所の価格」が25%で2位、「維持・管理費」が23%で3位と、経済的な要素も上位にあがりました。以降は4位「霊園の環境」17%、5位「墓所の形式」5%、6位「墓所の面積」2%、7位「宗派」1%という調査結果でした。

霊園の環境や墓所の形態よりも、現実的な要素が上位となる印象を受けます。遺族や生きている人たちに気持よく過ごしてもらいたいという配慮や、他者に迷惑を掛けたくないという今日の高齢者の心理傾向が読み取れます。

日本の伝統的な墓というと、墓石の中心に苗字が掘られたものを想像すると思います。その墓石の下に火葬した遺骨を骨壷に入れ納めるという方法が日本の伝統的な埋葬方法だと考えている人が多いと思いますが、実はこの埋葬方法はそれほど長い歴史を持ってはいないのです。墓石を持つ墓が現れたのは江戸時代中期以降、そして火葬が庶民に普及したのは明治時代以降。それまでの庶民の埋葬方法は、死体置き場で朽ち果てるのを待つ風葬が主流だったそうです。

時代とともに埋葬方法は変遷を遂げていますが、先祖代々の墓を守るという価値観は今どのように受け止められているのでしょうか。次のグラフをご覧ください。

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先祖の墓を守るのは子孫の義務だと考えるかという問いに対して、男女全体では「そう思う」と回答した割合は39.7%、「どちらかといえばそう思う」は36%。大多数が肯定的な意見を持っていることがわかります。男女別に見たときもやはりほとんどが「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答していますが、「そう思う」と強い肯定を唱えた男女の割合に違いが見られました。「そう思う」と回答した男性が49.6%なのに対して、「そう思う」と答えた女性は29.9%です。継承すべき先祖代々の墓は多くの場合男性配偶者の墓であると推測されます。幼いからころから跡取り、墓守として家族に期待されてきた男性も少なくないのかもしれません。先祖の墓への執着は女性よりも男性のほうが強いことが、データから読み取れました。

少子高齢化が進む現在、継承者を必要としない墓を求める声を耳にすることも多くなりました。墓の維持には多大な費用も発生するので、子供がいても経済的負担をかけたくないと継承者不在墓を求める高齢者もいます。時代の変化とともに、墓にも温故知新を心がけていくことが大切だと感じました。