同居じゃない!「近居」のススメ

2016/05/11

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65歳以上の高齢者(以下高齢者)人口は総務省統計局の平成26年9月15日推計のデータにおいて、3296万人。総人口に占める割合は25.9パーセントと、人口、割合ともに過去最高の数値となりました。昭和25年には総人口の4.9パーセントであった高齢者が、今日では25.9パーセント。国立社会保障・人口問題研究所が出した推計データによると、高齢者の割合は今後も上昇し平成47年には65歳以上が33.4%を占めるといわれています。詳細を見ると8人にひとりが75歳以上となる推計です。

核家族化・少子化にともなう、高齢者単身世帯の増加は顕著です。総務省の国勢調査によると、平成22年の男性の単身世帯数は139万世帯、女性の単身世帯数は341万世帯。この単身世帯のうち、高齢者のひとり暮らしが男性で約11パーセント、女性では約20パーセントも占めています。1980年は半数強だった親との同居率は、2007年では約20パーセントと減少。かつては子世帯、孫世帯と同居することが老後の過ごし方の主流でしたが、今日そのスタンダードは崩壊しているのです。

同居となると、確かにハードルが高い印象があります。今まで複数世代で同居して育ってきていたり、結婚前から絶対に同居するという約束をしていたり・・・という人は別でしょうが、子世代は同居に抵抗感があると思います。義理の両親との同居も気を遣いそうだし、かといって実の両親とだからうまくいくかというと、そういうわけでもないようです。実の両親だからこその甘え、配偶者と両親の仲がうまくいくようにといった配慮など、実の両親と同居後距離ができてしまったケースも見受けられます。

子供世代が抵抗感を示す同居ですが、実は親世代も積極的に同居したいという人ばかりではないようです。内閣府の意識調査によると子供世代との別居希望者は1969年では約12パーセントでしたが、2006年では約36パーセントと増加しています。生活スタイルも価値観も異なる子供世帯に気を遣って暮らすのは嫌だ。同居だと距離が近くてトラブルになってしまいそうなので、だったら気楽に自分たちだけで暮らしたいという意見も少なくありません。

今日の親世代は自立した若々しい価値観を持っているのですね。とはいえ、親世代が健康なうちはいいですが、だれかのサポートが必要になったり、連れ合いを亡くしたり、年月とともに状況は変化します。子供世代は、自身の子育て期真っ盛りでしょう。現在は共働きの家庭が大変多いので、近くに子育てのサポートをしてくれる存在がいたらどんなにいいでしょうか。

現在にぴったりなスタイルは、ずばり「近居」です。車や電車など、移動時間30分以内の場所に住むことをいいます。徒歩で移動できる距離内、また同じマンションでの近居も多いようです。

近居のメリットはたくさんあります。自動車など、1世帯にひとつ必要のないものは共有することができ、経済的にも負担を軽減できます。食事なども毎日では気詰まりでしょうが、たまに一緒に作ったり、おすそわけができたりするので、単身世帯で暮らすよりも経済的でしょう。何か困ったことがあったときに助け合えるのも大きな魅力です。孫が病気のとき、親世代が病院に行かなければいけないときなど、近くに心から心配してくれる親族がいると、とても心強く感じるでしょう。

それに何より精神の充足、楽しいことが一番の魅力だと思います。おじいちゃん、おばあちゃんと触れ合う機会が多いことは孫の成長にもいい影響を与えます。年齢を重ねて親世代がひとり暮らしになったとしても、気軽に移動できる距離に子供や孫がいたら孤独を感じずに済むはずです。

親世帯と子供世帯との関係も、一朝一夕では築き上げられません。お互いの体が元気なうちに、これからのことを見据えて関係を構築していくよう努めことが大切だと感じました。精神的な距離と物理的な距離は、強く関係しています。心も家も近い距離で付き合って、支え合っていきたいですね。

この記事を書いたライター

三浦 知子
三浦 知子

幸せってどういうことなのだろうと考えたときに、私は自分らしく、その人らしくいられることなのではないかと思います。

人生の終盤をどのように過ごすかは、人間にとってとても大切なことです。世間やほかの人の価値観ではなく、ご自身が今までに培ってきた考え方を生かして豊かに過ごしていただきたい。そのお手伝いができることを、とても嬉しく思います。