データでわかるライフエンディング【vol.12】高齢者の暮らし

2016/06/08

「高齢者」というと、皆さんはどのような人たちの姿をイメージするでしょうか。社会活動から退き、ご隠居生活を送る白髪のご老人を思い浮かべる人もいるかもしれません。世界保健機関(WHO)は65歳以上の男女を高齢者と定義しており、日本もほかの先進国と同様にWHOの定義にならっています。定年退職が65歳までに引き上げられようとしていることも考えると、65歳という年齢は人生のターニングポイントといっても過言ではないでしょう。

しかし現在の65歳以上は元気で若々しく、高齢者というイメージからほど遠い人が多いようにも感じます。日本老年学会が発表した声明によると、最新の科学データでは高齢者の身体機能、知的能力は年々若返る傾向にあるといいます。10年前の高齢者と比べて今日の高齢者は5歳から10歳若返っていると想定されています。そう考えると、現在の高齢者と呼ばれる世代がアクティブに活躍していることにも納得がいきますよね。「データでわかるライフエンディング」第12回は、高齢者の暮らしについて考えていきたいと思います。

少子高齢化が進んでいる日本において人口に占める高齢者の割合が増加していることは、皆さんよくご存じだと思います。高齢者の増加の中でも特に注目すべき点は単身世帯の高齢者と、老人ホームの施設などに入居している高齢者数の推移です。世帯の種類別、男女別高齢者の割合の推移を示したグラフを見ていきましょう。

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総務省統計局調査のグラフによると、平成22年単身世帯の女性は20.3%、単身世帯に住む男性は11.1%で、ともに平成17年より増加しています。また平成7年から上がり続けていることも読み取れます。

平成22年の「施設等の世帯」では、女性が7.2%、男性は3.7%。こちらも前回調査の平成17年よりも男女ともに増加し、また平成7年から見ても毎回上昇を続けていることがわかります。かつては子供や孫と同居する世帯が多く見られましたが、現在は特に都市部を中心に高齢者のひとり暮らしが増加しているのです。

次に高齢者がどのような行動をとっているのかについて調べたグラフから、高齢者の意識を読み取っていきたいと思います。社会生活基本調査によると、平成22年に10月20日から1年間の間に何らかの「学習・自己啓発・訓練」を行ったという高齢者は718万1000人でした。この人数は高齢者全体の26.0%にあたります。平成18年の調査時と比べると、70から74歳の年代では8.0ポイントも上昇しているといいます。

それでは具体的にどのような行動を行ったのかというのをまとめたのが、下のグラフです。

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平成18年調査と比べると「人文・社会・自然科学」と「介護関係」を除く全てのカテゴリーで上昇しており、特に「パソコンなどの情報処理」のポイントが大きくプラスとなっているのが見て取れます。

かつての高齢者は情報処理に疎いというイメージでした。しかし現在の高齢者は仕事でパソコンを利用していた世代になりますし、スマートフォン、タブレットの普及も後押ししてか、情報通信機器に関心が高いことが伺えます。インターネットは若い頃のようにからだに無理がきかない高齢者にとって、生活を便利にしたり、世界を広げたりする有効な手段なのです。買い物や仲間づくりなどに自分らしく使えたならば、世界が広がるのではないしょうか。心を豊かにするために自主的に活動している高齢者が増えてきていると感じました。

 

心の豊かさと並んで大切なのは、からだの健康です。健康維持に有効なスポーツと高齢者がどのように関わっているのでしょうか。平成23年に何らかのスポーツを行ったという高齢者は1419万9000人。この人数は全体の51.4%となります。平成18年の調査よりも4.8ポイント上昇しており、特に70歳から74歳では7.9ポイントと大きく上昇しています。

スポーツの種類別に比べたグラフをご覧ください。

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「ウォーキング・軽い体操」が4.4ポイントと最も大きく上昇していることがわかります。「器具を使ったトレーニング」も0.9ポイント上昇。そのほかの種類に関してはほぼ横ばいといっていいでしょう。以前は高齢者のスポーツの定番であった「ゲートボール」が1.0ポイント減少していることからも、かつての高齢者像に今日の高齢者がとらわれていないことが推測されます。

現在の高齢者は心身ともに若返っており、社会を担う若者が減少する中、日本の活力になる人材だと、その能力が見直されています。高齢者と呼ばれる世代が社会活動に貢献し、自身も社会も元気になる。そんな世の中になることを期待しています。