データでわかるライフエンディング【vol.13】介護に対する意識

2016/06/09

2023年には総人口の過半数を高齢者が占めるといわれている日本社会。超高齢社会を迎えている今日、介護施設が抱える問題や高齢者が高齢者の面倒をみる「老老介護」を取り上げたニュースをよく耳にします。高齢化が進むこれからの日本において、介護は国民全体で考えなければいけない課題といえるでしょう。「データでわかるライフエンディング」第13回は、介護に対する意識について考えていきたいと思います。

現在、過去を含め介護の経験があるか否かという質問に関して、50代以上の男女、約800人に対して行われた次のような調査結果があります。

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「介護を現在している」と答えた人は男女全体で18.5%、「過去にしていた」と回答した人は38.5%で、過去と現在合わせて介護を経験したことがある人は57.0%となり過半数を超えています。過去、現在合わせての介護経験者を男女別に見ると、男性が49.3%であるのに対し、女性は64.9%と多いことがわかります。夫の親の介護は嫁の務めという考え方は時代錯誤ではありますが、男性が仕事を持っていることも多く、女性が介護を負担しがちであるとグラフから読み取れます。介護をしている女性の中には更年期症状に悩まされる年代も多く、また仕事を持つ女性が介護する場合に負担が大き過ぎるなど、多くの人が悩みや現実と折り合いをつけながら介護しているのです。介護される側だけではなく介護する側にも寄り添う気持ちが大切ですが、まだまだ社会の理解や環境が整っているとは言い切れないのが実情です。

では介護経験者が実際に介護をしていて辛いと感じるのはどういうときなのでしょうか。介護経験があると回答した人に、介護をしていて辛いと感じたことは何かという質問をしたデータから考えていきたいと思います。

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介護経験者の87%は「精神的な面」が辛いと回答しました。回答した割合の高い順でいくと、2番目に高かったのは「肉体的な面」の71.4%。そして「環境の変化」の70.2%が続きます。年代別に見た場合「精神的な面」が辛いと答えた割合は50代の90%で最も高く、反対に「肉体的な面」が辛いと回答した割合が最も高かったのは70代の77.9%という結果でした
 50代が最も精神的負担を感じていること、そして「環境の変化」が辛いと回答した割合が高いことから、介護を受け入れ、その生活スタイルに慣れるには時間がかかることがわかります。

今度は介護される側になったときに不安に思う事柄のデータを見ていきましょう。

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最も割合が高かったのは「家族への負担」の94.7%。介護する側にも精神的な負担がありますが、介護される側もほかの人に迷惑を掛けたくないと心を費やしていることがわかります。次いで「金銭的な負担」が心配と答えた人が79.7%、「家族との人間関係の悪化」が不安だとの回答者は61.9%でした。介護される側になったとき不安に思う事柄の上位に肉体的な負担はあがっていませんが、実際につらい事柄の上位には肉体的な辛さが入っていることから、介護とは想像以上に肉体仕事だといえるでしょう。
 介護には労力、気持ち、お金がかかるというイメージがありますが、「金銭的な負担」が心配と答えた割合は年代を上がるにしたがって減少する傾向が見られたのは特徴的です。単身世帯では「頼れる人がいない」という回答の割合の高さが目立ちました。

年代が上がるにつれて減少していったとはいえ、金銭的な不安をあげている声が多く聞かれたのは事実ですし、金銭的な余裕が心の余裕を生むように金銭と精神の充実とは切っても切れない関係です。また金銭的な問題で大切な人に納得のいく介護ができなくなってしまったら、介護する側にとっても心残りなことでしょう。
生命保険文化センターの平成24年度調査では、介護にかかるお金を次のように算出しています。自宅の増改築、介護用品購入などの一時費用にかかった平均金額が91万円。1か月の介護にかかる費用の平均が7.7万円。そして、その7.7万円がかかった期間は4年9か月という結果でした。このデータを基に介護にかかる平均費用を計算すると、なんと500万円以上になることがわかります。この金額には現在進行形で介護している人の回答も含まれていますし、また平均寿命が伸びていることも考えるとこれから介護にかかる費用は800万円近くになるともいわれています。
介護には個々人の事情によって異なる悩みがあるものですが、介護する側も介護される側も、それぞれの負担を少しでも軽減できたらお互いに気持ちいいものです。環境、そして気持ちを整え準備することが大切だと思いました。