【私の看取り体験その1】清拭代に死亡診断書……現金がどんどん消えていく

2016/06/13

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数年前の話になりますが、祖父の臨終に際して感じたことをお伝えしたく思います。健在だった祖母が喪主として見送ったのですが、お金にまつわるさまざまな不安に翻弄された臨終だったようでした。

当時の祖父は80代後半でしたが、まだまだ元気。毎朝趣味のゲートボールに出かけたり、家で静かに詰将棋に興じたりといった姿が印象に残っています。そんな祖父が急変したのは、ある寒い朝。突然自宅で倒れ、同居の祖母が呼んだ救急車で病院に搬送されたものの、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。

もちろん、その年齢から周囲としてはそれなりの心づもりはしてきたつもりでいました。とはいえ、突然の死に直面すると、やはりさまざまな「!!!」が生じるものなのですね。その最たるものとなったのが、わが家の場合は「お金のこと」でした。

「人の死に際し、お金の話をするなんてちょっと不謹慎」とのご意見もあるかとは思いますが、これ、意外に大切なこと。わが家はそんなちょっとしたタブー感から、祖父の生前に「お金の備え」を避けてきたために、少し混乱することとなってしまったのです。

臨終に際して、残された家族にはさまざまな金銭的な負担が発生します。一般に「葬式代」とはよくいいますが、それ以前にもさまざまな局面でそれなりにまとまった額のお金が必要になるのです。

祖父の場合、息を引き取ったのが病院のベッドの上であったため、臨終直後のケアはおもに病棟看護師さんの手によって行われました。輸液チューブの撤去といった死後の医療的措置と同時に、遺体は全身を拭き清められ、霊安室に運ばれました。

しかし、この霊安室には、そこまで長く遺体を安置しておくことができないとか。祖父を失った悲しみにくれる間もなく、遺体を搬送する搬送先と搬送車を手配するように要求されます。葬儀社に連絡して搬送の手配を整えたら、慌ただしく遺体を運び出す必要があるのです。

救急車で早朝搬送される祖父に付き添って病院に向かった祖母、財布にあるのは数万円程度のお金のみ。その状態で、結構な費用が発生すると予想されるサービスを次々と選択し、依頼する作業は、なかなかストレスフルなもののようでした。

「病院の支払いはいつまでにいくら必要なのか?」「葬儀社の支払いは?」などなど、次々と浮かぶさまざまな疑問は、精神的な安定を失った状態の祖母に、大きな不安となって襲いかかったのです。

早朝搬送されて数時間後に死亡した祖父の病院代は、緊急の検査費用や強い薬代など、合わせて数万円の医療費。そこに死後措置の費用である数万円が加算されていました。医療に関わらない清拭などの費用は、保険適用外の実費で支払う必要があるというのです。

さらに、死亡届の提出や保険手続きに必要な死亡診断書もタダではないということを、この段階にいたって初めて知りました。死亡診断書は複数枚を用意しておくことが必要なケースも多く、祖母も数枚を依頼したようですが、「3枚で15,000円もするの!」などとショックを受けていました。

意識を失った祖父と家を出る際にとっさに掴んだ財布にあった数万円と、当座の祖母名義口座からキャッシュカードを使って引き出した数万円、祖母の手持ちの現金は、この辺りの細かな支払いに消えてしまったのでした。

その後も祖母の不安は続きます…(明日の更新へ続く)。