【私の看取り体験 その2】銀行のお金が下ろせなくなるから、死亡広告は出さないで!?

2016/06/14

97d647f033b19051783e92c2504896f2_s

数年前、祖父の臨終に際して体験した、お金にまつわるちょっとしたトラブルをご紹介しています。トラブルとはいっても冷静に対処すれば問題ない規模のものではあります。とはいえ、大切な人を亡くしたばかりで精神的にも不安定な家族にとっては、これらのトラブル対応はとても負担が大きいもの。事前に「知っておくこと」で少しでも負担を軽減することができるのではないかと、ご紹介させていただくものです。

さて、病院で死亡した祖父の遺体を運び出す算段がついて、慌ただしく支払いを済ませたのちに、祖母は病院を出発しました。人の死に際して「突然の悲しみに家族は実感を持てず、ただただ忙しさに我を忘れる」といった類の内容を耳にしたことがありましたが、まさにその通りの状態だったと思います。

この段階での祖母がしきりと心配していたのが、やはりお金のこと。それなりの蓄えはあった祖父母ですが、次々に請求される現金の額に、「いったいいくら用意しておけばよいの?」と戸惑っていたように見えました。

遺体とともに自宅に戻り、安置が完了すると、祖母は真っ先に自宅に残されていた祖父の財布を確認したそうです。

「なぜか三万円も入ってたから、何か食べに行こう!」

とにかく落ち着きたいといった様子の祖母からそう声をかけられて、その場にいた親族で近所の和食屋に出かけたことが、鮮明に記憶に残っています。すでに夕暮れ迫る時刻、とにかく空腹だったので、「ありがとうおじいちゃん!」と思いながら、おいしい食事をいただきました。

菩提寺や現役時代にお世話になった方々、老後の友人たちなど、さまざまな方への連絡はもちろん並行して行っていました。地方とはいえ、それなりに大きな企業の支店長までを務めた祖父のこと、誰ともなく「新聞社に連絡して、明日の新聞に死亡告知を出さなきゃ」という話になりました。

しかし、祖母がそれに難色を示します。

「死亡広告を出したら口座が凍結されて銀行からお金が下ろせなくなる」

「葬儀費用を用意してからにしなきゃ」

「とにかく手元にお金が必要」

と、お金にまつわる祖母の不安は大きなもの。新聞のお悔やみ欄を見て銀行が故人の口座を凍結するという話を聞いたことがあるとかで、新聞社への連絡を渋ったのです。

とはいえ、「とにかく当面の費用として、それなりの額のお金は必要だ」ということで、親戚の一人がキャッシュカードを持って銀行へと赴くことになりました。祖父名義の口座から死後現金を引き出すことはNG行為かもしれませんが、祖母の気持ちを落ち着けるためにも必要なことだったのです。

その後、新聞社に電話を入れて、無事祖父の死亡広告掲載が決まりました。そこまで大きなものではありませんでしたが、それでも数万円とそれなりの費用が発生したそうです。人は死ぬのにもお金がかかる生きものなのですねぇ。

祖父の死に際のお金の話はまだまだ続きます。