【私の看取り体験 その3】故人のお金、結局どこまで使っていいの?

2016/06/15

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「お金がない!」

その事実は想像以上に人を不安にさせます。特に、大切な家族の死に直面し、精神的に不安定になっている遺族では、「お金がない」ことの不安感に加え、次々発生する費用がどこまで膨らむのか見当もつかないという不安も大きく感じられるものです。

祖父の死にあたって家族が直面した「お金の悩み」を赤裸々にご紹介することで、今後そうしたシチュエーションに身をおくことになる人の不安を少しでも解消できればと思います。これまでの話と合わせてお読みいただけると幸いです。

さて、死亡時に財布に入っていた三万円はご馳走に化けてめでたく親族のお腹に収まったとしても、故人が残したお金はどこまで使ってよいものなのでしょう?

本来的な意味では、「財布に残った三万円」でさえ、それが故人のものである以上は使うことはNG。とはいえ、葬儀費用など、故人があらかじめ用意していた予算を活用したいという場合もあるでしょう。

祖父とて、自分自身の葬儀周辺費用としてそれなりの額を用意していました。しかし、その金額を他の遺産と明確に分けていたわけではなく、自身名義の銀行口座にそのまま一緒に入れてあったのです。それが問題だったのです。

どんなに祖父が葬儀費用として用意したものであっても、それが故人名義の口座に入っている以上、名義人死亡の事実を知った銀行側は、口座を凍結してその財産を守ろうとします。口座が凍結されてしまうと、その口座に入っているお金は相続人全員の承諾なしには動かすことができなくなるのです。

自身の財産から、一定額を葬儀など臨終に際しての費用に使って欲しいと思うなら、きちんと現金化するなり、次世代の誰かに託しておくなりする必要があることを深く実感しました。しかし、突然倒れ、突然死に至った祖父には、そうした準備をしておく時間もなかったのです。

少し調べてみたところ、葬儀費用を誰が負担するかには、法的な決まりはないようです。しかし、ある程度高額になる葬儀費用を丸々残した家族の負担としてしまうのは、故人としても心残りでしょう。多くの高齢者が葬儀費用として一定額を貯蓄しているのではないでしょうか? しかし、貯蓄しておくだけでは十分ではないのですね。葬儀費用として残すのであれば、きちんと明確に他の遺産と分けておかなくてはいけないのです。

わが家の場合、喪主の祖母をはじめ、他の法定相続人である伯父、母、叔母の間での意思疎通がうまくいっていたため、特に問題なくその費用を祖父名義口座のお金で賄うことができました。しかし、遺産相続で揉めるケースなどではそうはいかないのでしょう。

なんにせよ、ある程度の額を臨終予算として確保し、いざという時にすぐ使えるようにしておくことは大切だなと思ったのでした。