【私の看取り体験 その6】銀行口座凍結で、電気、ガス、水道が止まっちゃう!?

2016/06/21

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人の臨終に際しては、大切な誰かを失う悲しみだけではない、大きな負担が残された家族を襲います。病院費用や葬儀費用といった金銭的な負担についてはこれまでの記事で触れてきました。しかし、家族にかかる負担は金銭的なものにとどまらないのです。

例えば、各種手続きにかかる時間的負担。祖父の死にあたっても、さまざまな時間のかかる手続きが必要となり、その度に平日昼間の時間を比較的自由に使うことができた母や私が、祖母の手続きをサポートするために駆り出されることとなったのです。

私の祖父は世帯主としてひとつの世帯を持っていましたから、電気、ガス、水道などの契約はすべて祖父の名義となっていました。そして、祖父母宅の光熱費の支払いはすべて祖父の口座から引き落とされる形だったのです。祖父が亡くなり、登録してある銀行口座が凍結されたため、これらの費用の自動引き落としがなされないこととなってしまいました。

確かによく考えればわかることです。しかし、誰かが亡くなった時に「電気、ガス、水道契約の名義変更!」とすぐに思いつく人はいないのではないでしょうか? 当然、祖母もそこまで考えが至らなかったようです。

慌ただしく葬儀を終え、会葬返礼も済ませてようやくひと息つけたところに、光熱費を供給している各社からの督促状が届きます。「引き落としができなかったため◯月◯日までに振り込みを」といった類の用紙です。

そう、人が死んだら、ライフラインの契約も名義変更が必要。そして、代金自動引き落としサービスを利用したい場合は、「生きている人」の口座に変更しなければならないのです。

手続きとしてはなんら難しいことではありませんでした。各社に連絡して名義変更および引き落とし口座変更の用紙を入手し、記入すれば良いだけです。しかし、大きな喪失感を抱えて、どこかふわふわとした時期を過ごしていた祖母にとっては、これらの瑣末な手続きも大きな負担と感じた様子。すぐに私たちにヘルプの声がかかったのです。

臨終から葬儀まで、気丈に振舞っていた祖母ですが、その頃はぼんやりと一日を過ごすことが多くなっていました。やはり、長年連れ添った大切な配偶者を亡くしたショックを乗り越えられていたとは言えないようです。

祖母の場合、近居していた身内がすぐに対応することができました。しかし、大事な人を亡くした悲しみに暮れる遺族が、これらの名義変更作業を怠り、ライフラインの途絶えた家で寂しく暮らす……そんな光景は想像するだけで悲しくなってしまいます。

人の死というものは、本当にさまざまな面倒を家族に残すものなのですね。