【私の看取り体験 その7】一家の主・世帯主が亡くなると?

2016/06/22

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天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。

すべての人に等しく死は訪れます。死の前に、人はみな平等なのです。

しかし、死亡後に残される家族の手間という観点から考えると、世帯主が亡くなるということと、そうでない人が亡くなるのでは、意味合いが異なってきます。世帯主を亡くすことは、残される家族にとって、大きな負担を強いることなのです。

もし、一家が生前の世帯主の収入のみに頼って暮らしていたとすれば、世帯主が死亡することによって大きな柱を失います。祖父の場合、すでに年金生活に入って長かったので、そうした経済的な問題は大きくありませんでした。ではなぜ、世帯主が亡くなると負担が大きいのでしょう? それは、すべて死後の手続きの多さにあるのです。

銀行口座の名義変更やライフライン契約の名義変更など、祖父が亡くなった後の瑣末で煩雑な手続きについてはすでにお話しました。

しかし、面倒はそれだけでは終わらなかったのです。

当時の祖父母はまだ携帯電話を持っておらず、自宅に引いた固定電話が唯一の連絡手段。この固定電話の契約も当然のように祖父名義です。死亡後に引き続き同一電話番号の使用を希望した祖母の名義に変更する必要がありました。

わが家の場合、電話の加入権も使用者と同じ祖父の名義であったため、この継承は比較的スムーズでした。祖父の死亡年月日と祖母との関係が記載された戸籍謄本1通で手続きを完了させることができたのです。しかし、第三者の電話加入権を使用させてもらっていた場合など、手続きは煩雑になると聞きました。

使用している回線の加入権は、毎月の請求書などに記載されていないことが多く、加入者が誰なのかはっきりしないまま回線を使っているケースもあるそう。そうしたケースでは、加入者の戸籍謄本などを取り寄せることが難しく、名義変更、あるいは解約の手続きすら難しくなるというのです。

そのほか、NHK受信契約の名義変更や運転免許証の返納、年金受給や介護保険の資格喪失手続きなど、祖父の死後には小さなものから大きなものまで本当にさまざまな手続きが必要となりました。

もちろん、住民票を抹消したり、世帯主を祖母に移したりといった手続きも必要です。とにかく手続き、申請ごとが多くなってしまう死亡後は、常に故人の死と相続人との続柄が確認できる戸籍謄本を持ち歩き、その都度ひとつひとつ対処していくことが重要でした。

死亡後の手続きとなると、遺産相続といった大きなものばかりに注目してしまいがちですが、こうした小さな変更、解約手続きも忘れず行うことが大切なのです。さらに、祖父のケースではなかったのですが、インターネット全盛となった現代では、web上の会員登録やSNSの扱いなど、さらなる手間も発生しているそう。考えただけで疲れてしまいそうです。